小型SAR衛星QPS-SAR11号機の打上げ成功
2025年6月12日、日本時間の深夜にQPS-SAR11号機「ヤマツミ-Ⅰ」がニュージーランドのマヒア半島にある発射場から打上げられました。このミッションはRocket Lab社のElectronロケットによって実施され、打上げから約50分後には衛星の分離に成功し、さらに35分後には初交信を果たしました。
打上げの詳細と初交信の成果
打上げは時計の針が0時31分を指す頃に遂行され、Mission名前は「The Mountain God Guards」と名づけられています。この衛星は、地球の表面を高精度に観測するために設計された小型SAR衛星です。初交信の結果、各機器が正常に作動していることが確認され、衛星の健康状態も良好であることが明らかになりました。今後は引き続きアンテナの展開や初画像の取得に向けての調整が行われる予定です。
ロケット・ラボのコメント
ロケット・ラボ社のCEOであるピーター・ベック氏は、この成功を称賛するコメントを発表しました。「エレクトロンチームは、QPS研究所との契約に基づく8回の打上げミッションのうち4回目を完璧に遂行しました。このことは、エレクトロンが小型衛星専用打上げでいかに信頼性を持ち、機敏であるかの証です」と述べています。
QPS研究所の成果と展望
一方、QPS研究所の代表取締役社長である大西俊輔氏も今回の打上げに対する喜びを語りました。「10号機『ワダツミ-Ⅰ』に続き、11号機『ヤマツミ-Ⅰ』も成功裡に打ち上げることができました。これは私たちの開発力と、ロケット・ラボ社の巧みな技術の成果です」と、衛星コンステレーションの構築に向けた前進を喜びました。今後も同社はロケット・ラボ社と協力し、さらに3機の打上げを予定しています。
QPS-SARプロジェクトの意義
QPS-SARプロジェクトは、軽量で高性能な小型SAR衛星の開発を目指しています。特許取得の大型展開式アンテナを搭載し、従来のSAR衛星の20分の1の質量と100分の1のコストで、46cm分解能の高精細な画像取得が可能です。最終的には36機の衛星で構成されるコンステレーションを形成し、平均10分毎の観測データを提供することを目指しています。
QPS研究所のビジョンと歴史
QPS研究所は2005年に福岡で創業され、九州宇宙産業のパイオニアとして位置付けられています。QPSの名は「Q-shu Pioneers of Space」を略したもので、九州から宇宙産業をリードするという意志が込められています。これにより、国内外での衛星開発やスペースデブリ対策に関わりつつ、広範なパートナーシップを築いてきました。
結論
今回のQPS-SAR11号機の打ち上げ成功は、現代の技術の進歩を示す一例であり、今後の宇宙産業におけるさらなる発展に大きな期待が寄せられています。QPS研究所とロケット・ラボ社の今後の取り組みが、宇宙技術の新たな可能性を切り拓くことでしょう。