バックオフィスの疲弊を招く『名もなき業務』の実態
近年、企業のバックオフィスを支える労務管理部門では、業務のデジタル化が進行しています。しかし、その一方で『名もなき業務』が業務効率を低下させているという事実が明らかになりました。この状況を浮き彫りにしたのが、株式会社SmartHRによる実態調査です。
調査の背景
調査の目的は、企業が進める人事労務DX(デジタルトランスフォーメーション)において、システム化されていない業務の影響を把握することでした。特に、効率化が進む年末調整や労務手続きに対する従業員への周知・確認・対応といった業務が、アナログな手法に依存していることが調査で明らかになりました。
調査対象
調査は、東京都港区に本社を置くSmartHRが実施し、51名以上の従業員を抱える企業の労務担当者と従業員1,790名を対象としました。これにより、業務の実態をより正確に把握し、品質向上のための施策を検討することができました。
調査結果の概要
調査によると、労務管理担当者の約49%が「1日3回以上」の業務中断を経験しているそうです。この業務中断の主な原因は、従業員からの突発的な問い合わせへの対応や督促であり、その数は88%にも上ります。
名もなき業務の影響
調査の結果、従業員の質問のうち88%は、実はマニュアルを見れば解決できる内容であり、労務担当者は「従業員が調査するのが面倒」と推測していますが、従業員の声を聞くと「記載内容がわかりにくい」という意見が多く見られます。これにより、担当者と従業員の間には大きな認識の差が生じていることが課題とされています。
繁忙期の苦悩
繁忙期には、約60%の労務担当者が「1日1時間以上」を従業員とのやり取りに費やすという結果が出ました。特に年末調整の際には、文書内容の不備確認や修正依頼が大きな負担となり、結果として業務効率がさらなる低下を招くことがわかります。
情報伝達の課題
興味深いのは、PCを持たない従業員との間に『伝達の壁』が存在することです。労務担当者の69%が現場責任者への口頭伝達を利用しており、これが情報のタイムラグを生む要因となっています。担当者は、情報の到達性やアクセスのしやすさにおいて高い課題感を抱いています。
結論と提言
調査の結果から、企業の人事労務DXは「点」の効率化には成功しているものの、従業員とのコミュニケーションに関する「面」での効率化は依然として課題が残っています。今後は、バックオフィス部門の生産性を向上させるために、従業員自らが必要な情報を容易に得られる環境の整備が重要です。これにより、業務の非効率を削減し、全従業員が本来の業務に集中できる職場環境を実現できるはずです。
調査に基づく知見を参考にすることで、企業全体の業務効率化が図られることが期待されます。さらなる改善策を模索することが求められる今、私たちもこの問題に目を向け、アクションを起こす必要があります。