大阪・関西万博でのリモートプロダクション実証
2025年に開催される大阪・関西万博では、NTT西日本グループが最新のテクノロジーを駆使してリモートプロダクションを実現しました。この取り組みでは、IOWN APN(Innovative Optical and Wireless Networkの一環)を活用した環境を提供し、いくつかの在阪放送局と共に成功裏に実証実験を行いました。
1. 利用の具体例と実績
今回のプロジェクトでは、NTTスマートコネクトが提供するデータセンターをハブに、万博会場と各放送局をつなぐことにより、非常に高品質で安定した映像伝送を実現しました。この環境では、以下のような利用が行われました。
- - 中継番組制作のサポート: 万博会場で撮影した映像をデータセンターに送信し、制作機能を活用して中継番組の制作を行いました。
- - 映像データの伝送: 撮影した映像を迅速に放送局へ届け、スタジオでの制作を円滑に進める支援をしました。
2. 技術の評価
本実証実験においては、次のような技術的な検証が行われました。リモートプロダクションを実現するための通信環境は以下の通りです。
- - 高品質な映像伝送: SMPTE ST2110の規格に基づいた非圧縮映像の伝送が行われました。
- - 冗長性の確保: All-Photonics Connectを二つの経路で利用し、切替えの際の安定性が確保されました。
これにより、放送局間でのコミュニケーションもシームレスで行えることが実証されました。
3. 実践から得られたメリット
また、実際の運用においても様々な利点が確認されました。
- - 円滑なコミュニケーション: 遠隔地間のインカムを用いた音声通話の遅延がなく、スムーズに進行できました。
- - 一貫した制作ワークフロー: 撮影から放送までの一連の流れを遠隔で障害なく行えました。
- - 柔軟な運用: 接続先の拡張などに簡単に対応できることで、放送局のニーズにも応えられました。
4. 今後の展望
NTT西日本グループは、この実証実験の成果を基に、リモートプロダクション機能を持つ「メディアハブ」のサービス化を進めています。関西地域では、京セラドーム大阪などの主要な拠点での利用も見込まれており、今後も使用可能な会場を拡大していく方針です。また、AIを活用した映像分析や編集支援機能の強化も計画されており、コンテンツの品質向上にも貢献することを目指しています。
5. さらなる情報発信
このプロジェクトの詳細については、2025年11月19日に幕張メッセで行われるセミナーで発表される予定です。興味のある方はぜひ足を運んで、最新の情報を手に入れてください。
この取り組みは、放送業界におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、より高品質なコンテンツ制作を可能にする大きな第一歩となるでしょう。