植物性廃棄物の資源循環と脱炭素効果
千葉大学環境健康フィールド科学センターの准教授、黒沼尊紀氏と、渡辺均教授が率いる研究チームは、植物性廃棄物を園芸資材へと転換するプロセスの中で、脱炭素効果を実証しました。特に、河川堤防で排出される刈草を焼却、炭化、堆肥化した際の温室効果ガスの収支を比較し、環境への影響を定量的に評価しました。この研究は、2026年6月30日に学術誌『Journal of Environmental Management』に発表される予定です。
研究の背景と意義
近年、園芸生産は化成肥料やピートモスの枯渇と調達不安に直面しています。この問題を受け、農林水産省の「みどりの食料システム戦略」では、未利用バイオマスの循環利用が重要視されています。しかし、その環境改善効果は具体的には明らかではありませんでした。特に、河川堤防から生じる刈草は、約80%が焼却処理されています。そのため、本研究では廃棄物処理と園芸利用の双方で、資源の循環と脱炭素を検証することが必要とされました。
研究成果の要点
1. 刈草を焼却することで温室効果ガスが排出されますが、炭化および堆肥化は、温暖化ガスの吸収に寄与することが明らかになりました。
2. 堆肥化と炭化のプロセスは、従来のCO2固定技術として確立されておらず、今回の研究で新たな解析手法を用いてその効果が実証されました。
3. 研究で製造したバイオ炭や堆肥は、市販品と同等の品質であり、ピートモスやパーライトの代替として利用が可能なことが示されました。これにより、園芸生産のフットプリントを大幅に低減することができるという結果が得られました。
今後の展望
この研究は、徳島県の実験をモデルにしたもので、全国各地の廃棄物処理および園芸生産に対する解決策を提供します。未利用バイオマスの循環利用が、グリーントランスフォーメーション(GX)を促進する道を示しています。将来的には、地域の資源を適切に再資源化することで、持続可能な農業と環境保全の両立が期待されます。
研究プロジェクトについて
この研究は、JSPS科研費などの支援を受けて実施されました。
参考文献情報
- - タイトル: From green waste to horticultural resources: A novel approach to quantifying greenhouse gas emission factors for decision-making
- - 著者: Takanori Kuronuma, Hitoshi Watanabe, Azusa Gomi, Shohei Masuda, Takuya Mito
- - 発表雑誌: Journal of Environmental Management
- - DOI: 10.1016/j.jenvman.2026.130335