2025年4月、日本企業がM&Aを加速
2025年4月、日本のM&A市場は過去最高の102件に達し、前年同月比で7件の増加を記録しました。この件数は、2008年に集計が始まって以来、初めて100件を超えるものであり、特筆すべき進展を示しています。これに伴い、取引総額は9467億円に達し、前年同月比で38.6%の増加を遂げました。
海外市場への進出が顕著
この成長の背景には、国内市場の縮小があげられ、日本企業が海外市場へ進出する動きが顕著に見られます。実際、上位10件の取引のうち、5件が海外関連案件です。特に、アジアや北米市場に対する注力が目立っています。
4月には、日本企業による海外企業の買収(アウトバウンド案件)が16件、一方で海外企業から日本企業への買収(インバウンド案件)が9件という結果が出ました。このように、海外関連取引が増えていることは、企業戦略として国際的な拡大が求められている証拠と言えるでしょう。
特筆すべき取引案件
取引の中でも特に注目すべきは、下記の3件です。
1.
野村ホールディングスは、オーストラリアの金融グループ「マッコーリー」から米国資産運用部門を2584億円で取得しました。この取引により、野村HDの運用資産残高(AUM)は約108兆円に達し、海外顧客比率も35%超に拡大する見込みです。
2.
SBIホールディングスは、同社の韓国子会社「SBI貯蓄銀行」を教保生命保険に900億円で譲渡しました。これにより、SBIは教保生命保険への出資比率を20%超に引き上げ、戦略的な関係を強化しています。
3.
トクヤマは、JSRから体外診断用医薬品事業を820億円で取得しました。この取引は医薬品分野での事業拡大を目指すものです。
海外市場へのシフトが進む中、医薬品や資産運用業界では、特に専門性の高い分野での取引が活発化しています。企業は新たな成長機会を求めて、海外の優良企業をターゲットにする傾向が強まっています。
M&A Onlineとは
また、M&Aに関する詳細な情報を提供する「M&A Online」も注目されています。このメディアは、企業の合併や買収に対する理解を深め、身近に感じるための情報を発信しています。2025年7月にはローンチから10周年を迎え、今後も後継者問題の解消や日本経済のイノベーションに貢献すべく努めていく予定です。
まとめ
2025年4月のM&A市場の動向は、国内企業が国際市場に果敢に挑戦していることを示しています。その結果、重要な業種での取引が増え、国内市場の縮小にもかかわらず、日本企業の活力を感じさせるデータとなっています。今後の市場動向にも注目が集まることでしょう。