令和7年の日印経済フォーラムに見る両国の未来へのビジョン
日印経済フォーラムにおける石破総理のスピーチの模様
令和7年8月29日、東京都内で日印経済フォーラムが開催され、石破総理が出席しました。この日、石破総理はインドのモディ首相を迎え、両国の経済関係の重要性や未来に向けたビジョンについて語りました。
日印の戦略的パートナーシップ
フォーラムの場で石破総理は、両国が自由・民主主義・法の支配といった普遍的な価値観を共有し、長年にわたって築いてきた友情について述べました。特に、日本の技術とインドの人材、そして市場が互いに補完し合う形で、経済関係が発展し続けていることに触れ、また「メイク・イン・インディア」への日本企業の関与によって、両国の協力が太平洋からインド洋、アフリカ、さらには欧州まで広がりつつあると強調しました。
人的交流の促進
スピーチの中で最初に触れたポイントは「人的交流の促進」で、石破総理は自身のインド文化を代表するバラナシの訪問にまつわるエピソードを語り、出会った人々が未来に希望を持っていることに感銘を受けたと述べました。鳥取県と島根県が連携して設立した「山陰インド協会」の活動についても触れ、両国の人的ネットワーク構築の重要性を説きました。これにより地方創生に新たな力をもたらす一助となっていると述べました。
技術と市場の融合
次に「技術と市場の融合」を挙げ、日本とインドが一緒に「日本の新幹線がインドを走る」という目標を共有していることを語りました。具体例としてムンバイ・アーメダバード間の高速鉄道建設や、住友不動産による開発プロジェクトに言及。また、日本企業の中で特に、四十年の歴史を持つマルチ・スズキがインド市場において圧倒的なシェアを獲得し、新たな投資が進んでいることも取り上げました。このような日本企業の積極的な取り組みが、「Make in India for the World」の具体例であると述べました。
重要技術分野への協力
最後に、石破総理は半導体をはじめとする重要技術分野の協力について言及しました。モディ首相のリーダーシップのもと、インドが将来の半導体製造拠点として発展するための取り組みを強調し、日本の企業が現地に投資していることも具体的に語りました。さらに、最近のバッテリー関連のマッチングイベントを例に挙げて、日本とインドの企業間での具体的な協業が始まっていることに期待を寄せました。
経済安全保障の確立
経済の不確実な状況下で、信頼できるパートナーと強靭なサプライチェーンを築く重要性を強調し、日印の産業界において具体的な協力の話は進行中であることを伝えました。特に、JETROと両国産業界が共同で作成した「ジョイント・アクションプラン」が発表されたことは、双方向の信頼関係を示すものとして特筆すべきです。
このように、日印経済フォーラムは両国の未来を見据えた重要な一歩となっています。石破総理が強調したポイントは、双方の経済関係の深化と持続可能な発展に向けて、今後とも継続的な努力が求められることであります。日印の強固で信頼に基づくパートナーシップは、これからの世界経済を支える一翼を担うことでしょう。