カーボライトの革新とその影響
株式会社ペーパルが開発した「カーボライト」は、革新的なCO₂資源化技術により実現した新しい紙素材です。2025年6月の発売を目指し、"理想の書き心地"と"脱炭素"を志向したこの製品は、排ガス由来のCO₂を活用した炭酸カルシウムを用い、従来の書き心地を超えた性能を提供します。
CO₂を資源として活用する新技術
「カーボライト」の最大の特徴は、排ガス由来のCO₂を原料として活用する点にあります。具体的には、CO₂をカルシウムを含む副産物と化学反応させて生成した炭酸カルシウム(CO₂活用炭カル)を使用することで、環境負荷を減少させることが可能になりました。これにより、本製品は一般的な炭酸カルシウムに比べ、紙製造時の排出CO₂を約97kg削減し、さらに約33kgを固定化することを実現しています。
書き心地の徹底追求
「カーボライト」の開発過程では、ぺーパルの技術者と、大栗紙工、そして文具ソムリエの石津大氏が共同で、筆記性能の検証および数々の試作を重ねました。これにより、以下の3つのポイントを実現しました。
- - 裏抜け防止: 高い不透明度を確保し、インクの裏写りを抑える。
- - 滑らかな手触り: 摩擦係数の調整により、書く際の心地よさを追求。
- - にじみ防止: 紙表面の微細構造により、インクの広がりを抑制。
これらは、手書き文化が再評価される現代において、非常に重要な要素となっています。
環境貢献の具体例
一般的に、白色度を上げるために紙製造に使用される炭酸カルシウムの代わりに、カーボライトでは全てCO₂活用炭カルを採用しています。このことは、温室効果ガスの削減に貢献しながら、同時に製品の質も向上させる結果を生んでいます。たとえば、B5のノート1000冊を製造する際には、約9.7kgのCO₂排出削減が見込まれるなど、具体的な環境への影響も数値で示されています。
発表の場と今後の展開
この新素材は、2025年7月2日に大阪・関西万博で初めて展示される予定であり、注目を集めています。このブースでは、カーボライトを使用したノート製品が先行販売される予定です。また、今後は「OGUNO」ブランドとしてオンライン販売も計画されています。
未来へのビジョン
「カーボライト」の開発背景には、脱炭素社会への移行と手書き文化の再評価があります。世界的な課題に貢献するため、カーボンリサイクル技術を利用したこの製品は、書くことを通じて環境貢献を促進し、同時にユーザーに豊かな書き体験を提供することを目指しています。
会社の取り組み
ペーパルは、1890年の創業以来、135年にわたり日本の紙文化を支えてきました。FSCの認証を受けた社会的責任を果たす企業として、常に持続可能性を意識した製品開発を行っています。カーボライトの実現はその一環であり、注目される技術を用い、未来の社会へ貢献することを目指しています。
結論
「カーボライト」は、ただの紙製品ではありません。環境問題への真摯な答えと、手書きの文化を大切にする姿勢を融合させた、次世代の素材です。今後の展開にも期待が高まります。