新たな超伝導材料
2025-07-24 10:27:54

次世代量子デバイスへの道を拓く新たな超伝導材料の発見

次世代量子デバイスへの道を拓く新たな超伝導材料の発見



千葉大学大学院工学研究院の山田豊和准教授を中心に、多数の研究者が集結したチームが、超伝導原子シートに関する新たな成果を発表しました。この研究は、特に薄い原子層物質の特性を利用した高感度な磁気量子センサーの開発を目指しています。

研究の背景


私たちの日常生活で目にする物体は、一般的に三次元構造を持っています。しかし、スマートフォンやパソコンといった電子機器の内部は非常に薄く、二次元的とも言える構造が多く見られます。これにより、電子デバイスは構造的にも機能的にも効率的に設計されています。近年、原子一層の厚さの二次元材料が合成できるようになったことによって、これまでの三次元結晶とは異なる特性を持つ物質が注目を集めています。特に、原子層物質は大気中でも安定して存在できるため、実用化の可能性が高いのです。

セレン化ニオブ薄膜の特性


研究チームは、ニオブとセレンからなる薄膜「セレン化ニオブ」の表面を走査トンネル顕微鏡(STM)を用いて観察しました。その結果、原子一層の厚さにまで薄くすると、通常では見られない電荷密度波(CDW)が出現することが確認されました。このCDWは、薄膜にわずかな磁場を加えるだけで構造が変わるという特異な性質を持っています。これは、他の三次元結晶では確認されていない新たな現象であり、高感度な磁気量子センサーとしての利用が期待されています。

研究成果の意義


この発見には、二次元物質を単原子層に薄膜化することで、電子デバイスにおける実装方法に重要な意義があります。二次元物質は柔軟性が高く、基板に固定する際に欠陥が生じやすく、その結果生じる構造的な歪みが電子状態や物性に影響を及ぼす可能性を示唆しています。この研究により、超伝導特性を持つセレン化ニオブを十分に活用する契機が得られ、次世代量子デバイスや超伝導エレクトロニクスの開発に向けた新たな道が開けることでしょう。

今後の展望


セレン化ニオブを利用した新たな超伝導デバイスの開発は、今後の研究でさらに進展していくことが期待されています。原子層物質の潜在能力を最大限に引き出し、科学技術の最前線に貢献する可能性を秘めています。今後の研究成果を通じて、既存の技術を超えるような新しい応用分野が開拓されることにも期待が寄せられています。これからも、超伝導材料の発展に目が離せません。

用語解説


  • - 走査トンネル顕微鏡(STM): 原子レベルの表面観察が可能な顕微鏡。
  • - 電荷密度波(CDW): 電子密度と原子配置の波状変化による物質の性質の変化。
  • - 透過型電子顕微鏡(TEM): 高解像度で内部構造を観察できる電子顕微鏡。

研究プロジェクトについて


本研究は、日本学術振興会及びその他の財団からの研究助成を受けています。これにより、量子ビットや高分子磁性薄膜の開発など、多岐にわたる研究テーマが支援されています。

論文情報


研究成果は、Springer Natureが発行する学際的科学ジャーナルに掲載される予定です。これにより、広く世界に向けて発表されることが期待されています。


画像1

画像2

会社情報

会社名
国立大学法人千葉大学
住所
千葉県千葉市稲毛区弥生町1-33 
電話番号
043-251-1111

トピックス(科学)

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。