吉匠建築工藝がラスベガスで発表した新技術
2024年11月、米国ラスベガスで開催された「Trimble Dimensions 2024」において、株式会社吉匠建築工藝の代表である吉川宗太朗氏が、3DCADソフト「SketchUp」のイベント「SketchUp 3Dベースキャンプ」に登壇しました。このイベントでは、日本建築を保存するための新しい技術『群拓』を発表しました。
吉匠建築工藝について
吉匠建築工藝は、東京都八王子市に本社を置く建設会社で、社寺や文化財の建築、修理を専門としています。特に、3Dレーザースキャナーの技術を駆使し、日本建築の床下から小屋裏までを詳細にスキャンし、点群データを基に「群拓」と呼ばれる現況保存図面を作成するパイオニア的存在です。これにより、日本の貴重な文化財や伝統的な建物の保存に寄与しています。
未来へのタイムカプセルとしての『群拓』
吉川代表は「未来へのタイムカプセル」と題し、自社の技術をいかにして活用しているかを語りました。会場での発表では、東京藝術大学の湯澤氏から依頼された作品の紹介から始まりました。約500本の素材を組み合わせたオブジェは、非常に複雑な構造を持ち、その完成品は『三矢曼荼羅』という名前で各地のイベントに出展されました。
次に、実際のスキャン技術に関する具体的な説明が行われました。スキャナーによって取得された点群データを、SketchUp内でどう扱うのか、モデリングの過程を解説しました。ポイントは、難易度の高い形状でも点群データを基にクリエイティブなデザインが可能になる点です。
吉川代表は「これからますます点群データが重要になる。次世代の技術者が必要だ」と強調し、今後の展望を示しました。
魚拓から得たヒント
『群拓』は、魚拓から発想を得たものであると吉川氏は説明します。日本では釣った魚を墨で紙に写す独特な文化があります。その技術を建物に応用し、現状の様子を和紙に出力して保存することが新たな文化財保存方法として提案されています。これにより、自宅の思い出や文化財の保存が実現するとのことです。
国内外からの注目
『群拓』の国内でのリリースに関しては準備中ですが、すでに予約は殺到しており、数か月待ちの状況にあります。これは技術の重要性と需要を示していると言えるでしょう。
未来への挑戦
吉川代表は「私たちは今、伝統と最新技術を融合させて、文化財を次の世代に残す努力をしています。未来の人々が私たちの努力を理解し、感謝してくれる日が来ることを願っています」と力強く語りました。つまり、ただ文化財を保存するだけでなく、未来に感動を与える作品としての価値を高めていくことを目指しています。
まとめ
株式会社吉匠建築工藝は、日本建築の現況保存を通じて、未来の社会にどのような価値を残していくべきかを常に考えている企業です。伝統技術を伝承しながらも、進化し続ける姿勢が国内外での評価に繋がっています。今後の『群拓』の展開が非常に楽しみです。