医療現場の質を高める新たな一歩
一般財団法人日本規格協会が2025年9月12日に発行する新刊『JSQC選書40 病院だからTQM-デミング賞を通して見えたもの』。この書籍は、医療機関における品質管理の手法「TQM(Total Quality Management)」を活用し、診療の質や安全性の向上を目指すもので、医療の現場に新たな風を吹き込む一冊です。
TQMと医療の関係性
製造業で広く用いられるTQMですが、近年では医療業界でもその重要性が増しています。特に、地方病院などでは経営環境の厳しさを背景に、サービスの質を高める必要性が叫ばれています。本書では、なぜ医療現場にTQMが必要とされるのかという問いから始まり、その具体例を通じて、医療の質向上のための道筋を探ります。
飯塚病院の成功事例
本書内では、飯塚病院の具体的な取り組みを紹介します。QCサークル活動やISO 9001の導入、中長期計画、さらにはデミング賞への挑戦といった活動を通じて、いかにTQMが医療の現場に適用可能であるかを示します。これらの取り組みは、単なる理論に留まらず、実践に則した具体的エビデンスが示されており、他の病院にも参考になる内容です。
TQMの実践に向けて
本書では、TQMを導入するための様々な実践方法が詳述されています。例えば、経営戦略の見直しや改善活動の展開、人材育成や医療の安全管理、そして内部監査や文書管理といった、新たな運営手法が提案されています。これにより、病院が直面する日々の課題に対する解決策を提供します。
特徴的な取り組みの紹介
さらに、本書ではセル看護提供方式や物品管理の改善、救急医療体制の強化、地域連携、病院情報システムの活用など、ユニークな取り組み事例を豊富に紹介しています。これらは、TQMを基にした取り組みがどのように特徴ある改善を生んでいるのかを理解する上で、非常に興味深い内容です。
書籍の概要
『JSQC選書40 病院だからTQM-デミング賞を通して見えたもの』は、4つの章に分かれて構成されています。また、184ページという手頃なボリュームで、医療関係者はもちろん、品質管理に興味のある一般の読者にも親しみやすい内容となっています。価格は税込で1,980円、予約受付中です。
まとめ
新たな医療の質向上に向けての道筋を示す本書は、医療現場でのTQMの導入を希望する方々にとって、貴重なリソースとなることでしょう。医療の未来を考える上で、質の確保と向上は避けて通れない道です。ぜひ手にとって、実践に役立ててほしい一冊です。