稲泉連がミズノスポーツライター賞を受賞
稲泉連の新著『パラリンピックと日本人アナザー1964』が、先日開催された第35回ミズノスポーツライター賞で最優秀賞に輝きました。この作品は、1964年の東京パラリンピックをテーマにしたノンフィクションであり、障害のある人々が抱える過去や未来への問いかけを鮮やかに描いています。
1964年の背景
東京パラリンピックが開催される前年、1963年に多くの傷痍軍人や療養所の患者たちが、初めて「選手」として名を連ねることになったのは、彼らの自立への第一歩でした。特に中村裕医師は、「日本の障害者スポーツの父」として、障害者スポーツの普及に尽力しました。また、美智子妃はその後も障害者スポーツの支援者として重要な役割を果たしました。これらの人々の努力が、今の日本の障害者スポーツ文化を築いたのです。
作品の新たな視点
本書は、2020年に出版された『アナザー1964パラリンピック序章』に新たな章を追加したもので、インタビューを通じて日本の「スポーツ用義足」の第一人者、臼井二美男氏の見解も盛り込まれています。これにより、1964年当時の視点から現代に至る障害者スポーツの進化がより具体的に感じられる作りとなっています。
賞を受賞した意義
ミズノスポーツライター賞は、スポーツに関連するノンフィクション作品を対象とした賞であり、稲泉氏の作品はその中でも特に高い評価を受けました。著者は、この受賞を通じて、多くの人に障害者スポーツの重要性を知ってもらうきっかけにしたいと考えています。東京パラリンピックから60年が経過した今、障害者スポーツを取り巻く環境がどのように変わったのか、そして何が変わらないのか、その問いを本書を通じて探ることができるでしょう。
現代とのつながり
2021年に東京で再び開催されたパラリンピックや、2024年にはパリでのパラリンピックを控えた今、本書は過去の出来事を俯瞰しながら、未来への道筋を描き出しています。これまで障害者が社会の隅に追いやられてきた経緯を理解し、彼らの可能性や活躍を認めることが、より良い社会の実現につながると著者は強く主張しています。
書籍情報
『パラリンピックと日本人アナザー1964』は、小学館から2024年8月1日に発売される予定です。416ページにわたり、多くの人々の物語が語られています。定価は1,540円(税込)、ISBNは978-4-09-825475-0です。
本書を手に取り、1964年の東京パラリンピックについての理解を深め、今後の障害者スポーツの進展を見守りましょう。