金融庁の新たな本人確認手法、実証実験でその可能性が示される
2024年6月に設置されたDID/VC共創コンソーシアム(DVCC)の「本人確認分科会」が、金融庁の「FinTech実証実験ハブ」の支援を受けて行った実証実験が、この度終了し、その結果が公表されました。この実証実験は、デジタル証明書(Verifiable Credential、以下VC)を用いて、犯罪収益移転防止法(犯収法)に基づく新しい本人確認方法を検証するもので、特に金融機関の本人確認における利便性とセキュリティの向上を目指しています。
実証実験の概要
実証実験は、以下の2つのスキームを用いて進められました。
1.
旧ト方式: 金融機関が実施した本人確認の結果を、マイナンバーカードなどの本人確認書類のICチップ情報を基にしたVCと組み合わせて利用する方法。
2.
ワ方式: 電子署名法に基づく事業者が発行したx.509証明書をVC形式で受け渡すことで利用する方法。
これにより、利用者が自身の本人確認情報をスマートフォン上で管理し、提示できるスキームが実現可能であるかを検証。特に、顧客側の負担軽減やセキュリティ強化が期待されました。
実証結果の概要
実験結果からは、新たな本人確認手法の実現性が示されたものの、一部のスキームにおいては課題も浮上しました。旧ト方式に関しては、VCを提示する際の利用者の実在性が証明できないため、導入が不可能との回答が関係省庁よりありました。しかしながら、ワ方式においては金融機関側で必要なリスク低減措置を講じることを前提に、適用可能との評価を得たため、次のステップへの道が開かれました。
今後の展望
今後は、VCの社会実装に向けた課題解決が求められます。本人確認の目的に依存しない様々なユースケースの検討や、事業者間での責任明確化が重要です。また、ビジネスモデルやコスト設計に基づいたインセンティブの整理も必要です。DVCCは、引き続き関係省庁や民間団体と連携しながら、新技術の適法性を確認し、VCの普及に努める方針です。
本実証実験の詳細は、金融庁の公式報告書で確認することができます。今後の進展に期待が寄せられる中、金融テクノロジーの革新がどのように進むのか注目が集まります。