最近、カスタマーサポート業務に携わる従業員の心理的負担が問題視されています。特に、カスハラ(カスタマーハラスメント)の増加がその一因とされており、従業員の業務効率や離職率に深刻な影響を及ぼす可能性があります。このような状況を受け、NTTテクノクロスはカスハラを迅速に検知するための新機能を搭載したコールセンターAIプロダクト「ForeSight Voice Mining」(FSVM)の製品化を年明けに予定しています。
カスハラ検知の重要性
カスハラは、顧客からの過剰な要求や不当な言いがかりなど、従業員の人格や尊厳を侵害する言動を指します。こうした行為は、オペレーターの精神的疲弊を引き起こし、さらには業務の効率性にも影響を与えるため、早期の発見と対応が求められています。これまでのFSVMでは、事前に登録したキーワードの検知に限られていましたが、新たに開発中の機能がこれを改良することを目指しています。
新機能の特徴
新機能では、生成AIを活用してカスハラを検知します。厚生労働省が提供するマニュアルを参考にし、過剰な要求や不当な言いがかりを会話の流れから捉えることが可能です。これにより、キーワードだけでは見逃されがちなカスハラの兆候も把握できるようになります。また、企業独自のカスハラ対策方針に合わせた基準を設けることも可能です。
さらに、FSVMがカスハラを検知すると、自動的に管理者に通知されます。この通知に基づいて、管理者はオペレーターに対して適切な対応方法をアドバイスしたり、自ら応対を代行することで、オペレーターの負担を軽減することが期待されます。
今後の展開
NTTテクノクロスでは、カスハラ検知機能に加え、AIを活用したカスハラの予知・予測にも取り組む予定です。これにより、コールセンターのオペレーターがより安心して業務に従事できる環境の構築を目指しています。
ForeSight Voice Mining の概要
「ForeSight Voice Mining」は、音声認識技術や感情分析技術、言語解析技術を駆使したコールセンター向けのAIプロダクトです。NTTが開発した音声認識技術を基に、通話内容の自動テキスト化や要約を行います。さらに、通話内容に応じたマニュアルの自動表示、通話のモニタリング機能を提供し、コールセンターや自治体などの電話応対業務における応対力向上を実現します。2024年8月末時点での導入実績は5万6千席を超え、徐々にその存在感を増しています。
この新しいカスハラ検知機能は、オペレーターの心理的負担を軽減すると同時に、顧客体験の向上にも寄与することを期待されています。コールセンター業務の現場での利用が進むことで、業務の質向上や従業員満足度の向上につながることでしょう。