ハンプトンロードブリッジトンネル拡張事業について
アメリカ合衆国バージニア州では、現在、最大規模とされるハンプトンロードブリッジトンネル拡張事業が進行中です。このプロジェクトは、ハンプトンとノーフォークの間を結ぶ海上交通の要所であり、約16キロメートルにわたるトンネルの拡張を目指しています。総工費は約38億ドル(約4,000億円)に達し、2020年から2025年11月までの間に完成予定です。拡張工事では、現在の片側2車線から片側4車線への拡大が行われ、交通混雑の解消と利便性向上を図ります。特に、バージニア港やノーフォーク海軍基地へのアクセスが容易になると期待されています。
CFCC®の役割
この拡張プロジェクトにおいて、当社の炭素繊維複合材ケーブルであるCFCC®が採用されました。CFCC®の特徴には高い強度、耐腐食性、軽量性、さらには経済的なライフサイクルコストが挙げられます。海上という厳しい環境に適した材料として評価され、海上部の約8.6キロメートルにおいて桁や杭の緊張材や補強材に使用されます。その総延長は5,486キロメートルに及ぶことになります。
インフラの現状とCFCC®のニーズ
アメリカでは1960年代に建設されたコンクリート橋梁の寿命が問題となっています。塩害地域や寒冷地域では、鉄筋の腐食によって早期に寿命を迎えるケースが見られています。CFCC®は、これらの問題に対応するための強い味方になっています。耐腐食性が高いため、コンクリート構造物の補強に適しており、近年その需要は高まる一方です。特に、2018年には米国全州道路交通運輸行政官協会(AASHTO)において、CFRPを設計に適用する際の基準が設けられたことで、CFCC®の技術基盤が整いました。
成功への道
当社のCFCC®は、すでにアメリカの9州36のプロジェクトに採用されていますが、ハンプトンロードブリッジトンネル拡張事業はその中でも最大規模のものであり、CFCC®の普及の礎となるでしょう。これにより、アメリカ国内でのCFCC®の認知度と信頼性がさらに高まることが期待されます。特に塩害地域や多雪地域において、さらなる導入が進むでしょう。東京製綱グループは、これからも世界各地で高品質なCFCC®を供給し、安全で持続可能なインフラ構築に寄与していきます。
事業の概要
- - 施主: バージニア州
- - 納入先: Coastal Precast Systems, LLC
- - 納入予定時期: 2021年1月〜2023年12月
- - 受注量: 緊張材の長さ3,962キロメートル、補強筋の長さ1,524キロメートル、合計5,486キロメートル
- - 工期: 2020年〜2025年11月
このように、ハンプトンロードブリッジトンネル拡張事業は、今後のアメリカのインフラ整備において非常に重要な意味を持つプロジェクトです。CFCC®を用いることにより、インフラ構想がより革新的になり、未来の持続可能な発展に寄与するでしょう。