路上で「孤独」と向き合う―名古屋の青少年団体が展開するユニークな活動
「夏休み、子どもたちの居場所を作りたい」「孤独感やしんどさを少しでも分かち合いたい」。そんな思いから、名古屋を拠点に活動する青少年団体「全国こども福祉センター」は、街中でユニークな活動を行っている。
10年以上、子ども虐待や少年非行、自殺、不登校といった問題に取り組んできた同団体。学校や行政機関だけでは対応しきれない課題に対し、路上という公共の場で、子どもたちと社会をつなぐ活動を展開している。
なぜ路上なのか?
「なぜ路上で活動するの?」
多くの人が抱く疑問に対して、同団体は「学校や施設ではなく、誰でも入れる開かれた場を作りたい」と答える。
「学校や家庭では、どうしても年齢や立場、成績といった枠組みの中で評価されてしまう。でも、路上ではそんなものは関係ない。みんな同じ人間として、自由に交流できる場所を作りたい」と代表者は語る。
着ぐるみと路上生活者―予想外の組み合わせ
同団体の活動で目を引くのは、子どもや若者が着ぐるみの姿で路上に立つことだ。
「子どもたちが、より気軽に声かけできる雰囲気を作りたかったんです。着ぐるみのキャラクターは、子どもたちにとって安心感を与え、コミュニケーションのきっかけになると思っています」
さらに驚くのは、路上生活者も活動に参加していること。
「路上生活者の方々も、社会の一員であり、子どもたちにとって貴重な存在です。彼らとの交流を通して、社会の多様性や人間の温かさを学んでほしい」
年齢や境遇、立場を超えた交流が、同団体の活動の特徴と言えるだろう。
誰でも参加できる、自由な空間
毎週土曜日の夕方、名古屋駅西口広場には、同団体の活動拠点が設けられる。
「ここでは、教育や治療が目的ではありません。対話と交流を通して、子どもたちが自分自身と向き合い、社会とのつながりを感じられるようにサポートするのが目的です」
参加者は、年齢や性別、障害の有無を問わず、誰でも歓迎される。
「ルールも、参加者みんなで話し合って決めます。自分たちで考え、行動できる力を育むことも、大切な目標の一つです」
「孤独」を分かち合う、温かいコミュニティ
同団体の活動は、社会全体に「孤独」や「しんどさ」を抱える子どもたちへのメッセージを発信している。
「人間は弱い生き物です。誰かの支えが必要な時もある。だから、安心して助けを求められる場所を作りたい」
夏休み期間中も、同団体は路上で活動を続ける。
「もし、死にたい、しんどいと思ったら、わたしたちのことを思い出してください。あなたを助けるために、ここにいます」
同団体の活動は、路上という予想外の場所から、社会に温かい光を灯し続けている。
特定非営利活動法人全国こども福祉センター
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