住友重機械と広島ガスがLAES商用プラントの運転開始
住友重機械工業株式会社(東京都品川区、代表取締役社長:下村真司)と広島ガス株式会社(広島県広島市、代表取締役社長 社長執行役員:中川智彦)は、パートナーシップを組んで広島市にある廿日市工場内に建設したLAES(Liquid Air Energy Storage)商用実証プラントの運転を、2025年12月1日より開始したことを発表しました。
このプラントは、液化空気の生成過程においてLNG(液化天然ガス)の冷熱を有効活用し、充電効率を向上させる世界初のLAES商用プラントです。住友重機械はこの施設の設計、建設、運転及び運用を担当し、得られた知見を基に設備の合理化を進める考えです。また、広島ガスはLNG冷熱の供給を行い、自社の設備内ボイラにおける省エネや省CO2の実現を目指しています。
LAESプラントの概要
このLAESプラントの設計には、オフピーク時の余剰電力や再生可能エネルギーを効率よく活用するためのさまざまな工夫があります。特に、液化空気をタンクで貯蔵し、必要な時にそれを気化してタービン発電機を駆動させるという仕組みがポイントです。このシステムは長時間の電力貯蔵が可能であり、電力供給と需要のバランス調整や電力網の安定化にも寄与するのです。
住友重機械は、このプラントが持つ可能性に大きな期待を寄せています。今後は、長時間のエネルギー貯蔵のニーズに応えるべく、再生可能エネルギーの活用を進め、さらなる環境負荷の低減に貢献していく方針です。
プラントの詳細
- - 名称: 住友重機械工業株式会社廿日市エネルギー貯蔵発電所
- - 所在地: 広島県廿日市市木材港南11-71(広島ガス廿日市工場内)
- - 容量: 5MW × 4時間貯蔵(充電4MW)
- - 実証試験開始日: 2025年12月1日
LAESの技術的特長
LAES(液化空気エネルギー貯蔵)システムは、主に3つのプロセスから成り立っています。
1.
充電: オフピーク時の電力を利用して空気を液化し、液体空気を生成。
2.
エネルギー貯蔵: 液体空気を断熱された低圧タンクに貯蔵。
3.
放電: 高圧ガスとして放出し、タービンと発電機を駆動して電力を供給。
このテクノロジーは、太陽光発電や風力発電などの不安定なエネルギー源との組み合わせにおいて、火力発電を代替する可能性を秘めています。
商用実証の目的
住友重機械と広島ガスは、LAES商用実証プラントを通じて、以下のような目標を掲げています。
- - LAES技術の法令・規格への適合。
- - LNG冷熱の相互利用による効率改善の検証。
- - 日本の電力需給市場への対応と合理化。
まとめ
住友重機械と広島ガスのLAES商用プラントの開発は、持続可能なエネルギー供給の未来に向けた一歩です。新たなエネルギー技術がどのように私たちの生活を変えていくのか、今後の展開が注目されます。