高校生の手で生まれる新しい教科書
滋賀県立守山北高等学校の「みらい共創科」が新設される2025年4月に向けて、そのカリキュラムをサポートする新たな教科書が、実際に生徒たちの手によって作成されました。地域協働やキャリア教育に取り組むこの学科では、従来の教科書では学びきれない内容を反映させるため、自らの経験や知識をもとにした学習ハンドブック『みらいの教科書 〜もりきた・みらい共創科で学ぶ地域と自分のみらい〜』が刊行されます。
共創型教科書の背景
「みらい共創科」は既存の教科書に依存しない新しい教育を目指しています。この新学科の設立にあたっては、地域社会や企業との連携を重視したカリキュラムを組み込んでおり、生徒たちは自分自身で課題を見つけ、試行錯誤を通じて解決策を模索する体験が重視されています。しかし、それに伴い「生きた教材」としての教科書が必要とされていました。
生徒参加型の編集プロセス
ハンドブックの制作は、滋賀県大津市に所在する小さな出版社、紫洲書院の協力を得て行われました。編集チームは約1ヶ月半の間、学校を訪れ、生徒たちとの対話から彼らの考えや意見を反映させていきました。生徒たちは、自分たちの言葉で表現したいという強い願望を持っており、彼らのリアルな体験を共有するプロセスは、単なる作品制作を超えた価値を生むものでした。
彼らが口にする言葉は非常に率直であり、デザインや構成に対する提案も積極的でした。「文字ばかりではなく、直感的に理解できるデザインにしたい」「自分たちの言葉でリアルに伝えたい」という言葉から、編集チームは彼らのビジョンを大切にしながら作業を進めました。
教科書の内容と特徴
完成した『みらいの教科書』は、単なるカリキュラムの概要や活動記録を呈示するものではありません。生徒の視点から、彼らの心に響く内容を重視し、実際の学びとその周囲に存在するリアルを伝えることに努めています。この教科書は主に次の3つのセクションで構成されています:
新入生が3年間の学びを理解できるように、カリキュラムがどのように進行するのかを簡潔に解説しています。
守山市の歴史や環境問題、農業体験など、生徒が実施してきたプロジェクトの広告と、その成果を記録します。
今夏に予定されているインターンシップに役立つ情報を含め、実践的なヒントや心構えを提供します。
各セクションは、視覚的に直感的に理解できるデザインが施されています。文字での情報を補完する形で、イラストや図版が豊富に使われており、生徒たちのリアルな経験を反映したワークシートも用意されています。
今後の展望
この教科書は今後の授業やオリエンテーションに幅広く活用される予定で、地元の中学校や他高等学校の生徒たちへの配布も計画されています。このようにして、地域と学校のつながりを強め、新たなモデルへの橋渡しを果たすことが期待されています。
生徒たちは地域社会で様々な大人と関わり、自らの将来を築いていくための心強いツールとしてこの教科書を利用することができます。教育現場から生まれたこの一冊は、滋賀県、さらには全国へと広がる未来の教科書の象徴となるでしょう。
書籍情報
- - タイトル: みらいの教科書〜もりきた・みらい共創科で学ぶ地域と自分のみらい〜
- - 制作: 滋賀県立守山北高等学校
- - 監修: 田口 真太郎(成安造形大学講師)・上田 隼也(一般社団法人インパクトラボ代表理事)
- - 公開日: 2026年7月15日(水)
- - 刊行: 紫洲書院
- - 仕様: A4判/30ページ
- - ISBN: 978-4-909896-20-9
※ 本冊子の制作にあたり、一部は三菱みらい育成財団の助成を受けています。