セイコーエプソンが長野県知事賞を受賞
セイコーエプソン株式会社(以下 エプソン)は、令和7年度関東地方発明表彰において「長野県知事賞」を獲得したことを発表しました。この栄誉ある賞は、エプソンの革新的な発明である『小型・高密度・低コストな液体噴射ヘッド』(特許第5958568号)が評価された結果です。
表彰式は11月20日、茨城県水戸市の水戸市民会館で開催され、多くの関係者が出席しました。受賞者には、エプソンの技術開発に関わる多くの技術者が名を連ねており、彼らの努力が実を結んだ瞬間でもありました。
地方発明表彰の歴史と意義
大正10年から続く地方発明表彰は、全国を8つの地方に分け、それぞれの地域で優れた発明を創出した技術者や研究者を表彰する制度です。こうした取り組みは、地方の技術革新を促進し、日本全体の産業発展に貢献するものです。
受賞した発明の詳細
エプソンが受賞した技術は、インクジェットプリンターの心臓部ともいえる液体噴射ヘッドに関するもので、特に圧電方式に基づいています。この方式は、各ノズルに組み込まれたアクチュエーターが、圧電素子の変化を利用して液体に圧力を加え、小さな液滴を噴出させる仕組みです。
今回の改良点は、薄膜ピエゾ材料を絶縁膜として活用することで、構成膜の数を削減し、変形量を拡大。これにより、噴射性能のさらなる向上が実現されました。また、基板上の応力集中部に金属配線層を積層することで、剛性を高めています。この新しい液体噴射ヘッドは、小型でありながら高密度かつ低コスト、さらに信頼性も兼ね備えています。
プリンターへの実装と影響
この新技術は、エプソンのPrecisionCoreマイクロTFPプリントヘッドに利用されており、商業装置やオフィス用のインクジェットプリンターに搭載されています。これらの製品は国内外で広く使用されており、高精細な印刷技術の普及に寄与しています。
さらに、エプソンはこのプリントヘッドを国内外の他社商業印刷機メーカーにOEM供給しており、各社製品にも採用されています。これにより、高精細な印刷技術を通じて、さまざまな社会的ニーズに応えることが可能となっています。
受賞者について
受賞者には、エプソンの各部門からの技術者が含まれています。具体的には、
- - 平井栄樹(IJS事業部 IJS開発設計部)
- - 矢崎士郎(IJS事業部 IJS品質保証部)
- - 髙部本規(IJS事業部 IJS開発設計部)
- - 加藤治郎(技術開発本部分析CAEセンター)などが含まれます。彼らのチームワークと技術力が今回の受賞につながりました。
まとめ
エプソンの受賞は、同社が持つ高度な技術力とイノベーションの証であり、多くの人々にとっての誇りでもあります。今後もエプソンは、さらなる技術革新に挑み続けることが期待されています。液体噴射ヘッドの進化は、エプソンにとっても重要なステップであり、今後の製品開発に大きく寄与することでしょう。