過疎ビジネスの真実
2025-07-17 09:24:41

『過疎ビジネス』が描く地方自治の疑惑と現実を検証する

地方創生の暗部を暴く『過疎ビジネス』



2025年7月17日、集英社新書より横山勲の著作『過疎ビジネス』が発刊される。この書籍は、過疎地域で悪用される公金の実態にメスを入れるもので、特に「企業版ふるさと納税」を通じた問題を中心に描かれている。著者は福島県国見町や宮城県亘理町、北海道むかわ町など、実際の事例を基に取材を重ね、地方創生の真の姿を明らかにしている。

公金と企業の奇妙な関係



過疎に悩む小さな自治体は、企業からの寄付を当てにして様々な施策を打ち出している。しかし、横山氏の取材からわかったのは、これらの施策が必ずしも地域のためになっているわけではないということだ。「企業版ふるさと納税」を利用することで、地方自治体は一定の資金を得るものの、実質的には企業の意向に左右され、最悪の場合は公金を食い物にする構図が露わになっている。

限界役場とその実態



著作の中で取り上げられる「限界役場」とは、地域の重要施策を企業に丸投げし、問題が生じた際には責任を逃れようとする姿勢を指す。横山氏は、自らの取材を通じて、こうした役場がいかにして地域に悪影響を及ぼしているかを具体的に示している。例えば、住民サービスの低下や、地域の人材育成がなおざりにされている現実が浮かび上がる。

過疎ビジネスの背後に潜む事情



著者は、過疎ビジネスの裏には何があるのか、その背景にも迫る。「地方創生」を謳う一方で具体的な成果が見えない今の地方自治体の方針や、国の政策がどのように影響を与えているかが考察されている。2022年から2024年に掛けて「河北新報」に掲載された記事がベースとなっており、それに加えて新たな取材クオータを盛り込むことで、より深い内容となっている。

書籍の構成



本書は、プロローグから始まり、第一章から第六章まで展開していく。それぞれの章では、疑惑の救急車や官民連携の落とし穴、地域自治の行方など、多様な視点から問題を捉えている。エピローグでは、今後の地方創生に対する提言もなされており、読者に対して思考を促す内容となっている。

著者の背景



著者の横山勲氏は1988年生まれ、河北新報編集部の記者として、これまでに数々の実績を積み重ねてきた。特に「企業版ふるさと納税」に関する寄付金還流疑惑の報道など、精力的に取材を行なっており、その成果を通じて多くの賞を受賞している。彼自身の手によって、過疎地域の実情や、そこに潜む問題がより明確にされていく。

まとめ



『過疎ビジネス』は、地方創生という名のもとで進行する問題を鋭く描写しており、私たちが目を背けてはいけない現実を突きつけてくれる一冊である。地方自治の現状、企業との関係、そして過疎ビジネスの実態について考える必要がある時代に、ぜひ一読をお勧めしたい。


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