エネルギー効率の高いAIチップレットの開発
日本のファブレス半導体企業、EdgeCortix株式会社が、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの40億円の助成金を獲得しました。この資金は、次世代のエネルギー効率の高いAIチップレット、SAKURA-Xの開発に活用される予定です。
EdgeCortixは、AI処理と高度な無線アクセスネットワーク(RAN)通信に特化したチップレットを開発することで、電力効率を劇的に向上させることを目的としています。近年、デジタルトランスフォーメーションが加速し、超高速通信や低遅延、接続するデバイスの数が増加しています。これにより、高度なネットワークが不可欠とされています。
しかし、エッジコンピューティングとクラウドインフラは、生成AIアプリケーションの急成長にともない、導入の壁に直面しています。現在の市場では、AIの展開には特定のサーバーに依存したシステムが利用されており、これがコスト高やエネルギー消費に寄与しています。AI統合型RAN(AI-RAN)は有望なソリューションとされていますが、その普及には依然としてエネルギー効率の改善が求められています。
SAKURA-Xプラットフォームの概要
EdgeCortixは、NEDOから得た助成金を活用し、革新的なSAKURA-Xプラットフォームの開発を進めていきます。SAKURA-Xは、AI処理とRANのアクセラレーションをシームレスに統合したチップレットベースのプラットフォームです。このプラットフォームは、従来のシステムと比較してエネルギー消費を削減し、計算効率を5倍以上向上させることが期待されています。
この新しいプラットフォームは、TSMCの先進的な技術ノードを使用して開発され、熊本にある先進半導体製造施設での量産を目指しています。また、EdgeCortixのDynamic Neural Accelerator® (DNA) や技術DNA-Xを基盤に持ち、高速かつリアルタイムのAI処理を実現します。
業界への影響
EdgeCortixのCEO、サキャシンガ・ダスグプタ氏は、次のようにコメントしています。「5Gの進化と共に、エネルギー効率の高いコンピューティングの重要性が増している中、SAKURA-Xは新たなネットワーキングを支える重要なプラットフォームです。」このような革新的な技術は、スマート工場や自動運転、データセンターなど多様な分野での成長を促進することが期待されています。
EdgeCortixは、エッジAIハードウェアの進化に力を入れており、通信、防衛、航空宇宙、インダストリー4.0などのような急成長している分野での活用を目指しています。今後も、同社の取り組みに注目が集まります。
参考リンク