国際女性デーに寄せて考える、女の子たちの権利と未来の課題
3月8日の国際女性デーに先立って発表されたUNICEFの報告書は、過去30年間における女の子たちの権利の変遷を見つめ直しています。成長の兆しを感じさせる半面、多くの課題を抱える現状を浮き彫りにしました。
女の子たちの教育の現状
教育の分野では、過去20年間で非就学の女の子は39%減少したものの、依然として世界で1億2,200万人の女の子が学校に通えていません。特に南アジアでは、15歳から19歳の女子が学校や職業訓練を受けない割合が飛躍的に高く、男の子に比べて約3倍も多いというデータがあります。
また、15~24歳の女性の約40%が後期中等教育を修了していない現実も、教育格差を如実に示しています。特に農村部や貧困家庭に属する女子の教育機会は厳しく、上位の教育を受けることが困難です。
インターネットの普及と格差
過去30年間で読み書きができる女子の割合はほぼ半減した一方、低所得国では90%がインターネットを利用できていません。このデジタル格差は、女子の教育や職業訓練の機会をさらに狭めています。
ジェンダーに基づく暴力
報告書によると、婚姻関係にある10代の女子の約25%がパートナーからの暴力を経験しています。さらに、調査によれば、女子と男子の3分の1以上が特定の状況で暴力を正当化する考えを持っています。このような実態は、女子の権利と安全が脅かされていることを示しています。
有害な因習とその影響
女性器切除(FGM)の実施は減少傾向にあるものの、2030年までに根絶するためには、現在の減少率を27倍に加速しなければなりません。また、18歳未満での結婚も依然として行われており、特に南アジアでは改善が進んでいるものの、ラテンアメリカ地域では依然として多くの女の子が子ども婚を強いられています。
健康とウェルビーイングの課題
健康面でも懸念があります。10代の女子の出産件数は過去30年間でほぼ半減したものの、2025年には約1,200万人が妊娠をすると予測されています。そして、15~19歳の女子は、出産時の合併症で死亡する確率が約23人に1人という高い危険を抱えています。
行動を呼びかける提言
報告書は、10代の女子の潜在能力を引き出すために世界的な行動が必要であると訴えています。具体的には、女子の声を広め、教育や職業訓練の機会を均等にする政策の策定や、データに基づいた現状分析を通じて、女子が直面する課題に対する迅速な対策を求めています。
UNICEF事務局長キャサリン・ラッセル氏は、「10代の女の子は世界を変える力を持っている」と述べ、正しい支援を受けることで、彼女たちが持つ可能性を最大限に引き出すことの重要性を強調しています。
私たちはこの国際女性デーを機に、女の子たちにとってより良い未来を築くために必要な支援や対策を考えるべき時です。彼女たちが抱える挑戦に光を当て、共に解決策を見出していくことが求められています。