健康経営の現状と企業の取り組み
株式会社エイチ・アイ・エス(HIS)と公益財団法人横浜市スポーツ協会が実施した「健康経営実態調査」の結果が発表されました。本調査は、全国の法人企業を対象に、健康経営の取り組み状況や各種健康課題への施策について分析したものです。その結果、74.4%の企業が健康経営に取り組んでいることが示され、企業の健康への関心が高まっています。
健康経営を取り入れる企業の割合
調査によると、健康経営に取り組んでいる企業の割合は企業の規模別に異なります。大規模企業は87.7%、中規模企業は76.9%、小規模企業は62.0%となっています。この結果から、小規模企業の取り組みが遅れている現実が浮かび上がります。
優良法人認定の取得状況
また、優良法人認定を取得している企業の割合は、大規模企業が78.0%に対し、小規模企業では27.3%と大きな差が明らかになりました。このことは健康経営を推進する上での課題の一つとなっており、特に小規模企業が優良法人として認定を受けるための取り組みが求められます。
推進の担当者について
健康経営の推進を担う担当者は、67.9%が「総務人事」に位置付けられています。一方で、大規模企業の22.0%は「推進の専門部門」を設けており、企業の規模に応じて担当者の設置方法にも違いが見られます。推進を効率的に行うためには、専門部門の設置が有効かもしれません。
社員の理解を促進するために
調査では、経営層や社内のキーパーソンの理解度が高いことがわかりました。94.0%が理解を示している一方で、社員層の無関心へのアプローチが課題として浮上しています。特に「マネージャー層への教育」が今後の取り組みで最も重視されていることから、その層への教育がカギとなるでしょう。
メンタルヘルスと女性の健康への取り組み
最近では、メンタルヘルスに対する対策の必要性が高まっており、外部専門家からの支援を求める企業も多数見られます。加えて、女性の健康課題に対する進展もあり、大規模企業では71.9%、中規模企業では50.0%が対策を講じている状況です。
効果を実感する企業
健康経営の成果指標としては、66.7%が「健診受診率の向上」を挙げ、次いで50.7%が「ワークエンゲージメントの向上」としています。これらの指標を通じて、企業は健康経営の効果を実感する部分が多いとする一方で、全体としての効果実感は57.5%にとどまっていることから、さらなる改善が求められます。
持続可能な健康経営に向けて
今回の調査によって示された健康経営の現状や企業の取り組みは、今後の改善点や戦略を明確にする手助けとなります。特に小規模企業の健全な健康経営への取り組みが必要であり、今後の施策がこの分野でも進展をもたらすことを期待します。さらに、各企業が健康経営を通じた社員の健康や生産性向上を目指し、持続可能な環境を作り上げていくことが重要です。