毛髪ケアにおける新しいアプローチ
最近、毛髪の内部にダメージを受けた人が増えています。そのため、毛髪のコルテックス領域を効果的にケアする方法が求められています。タカラベルモント株式会社は、独自のイメージング技術を駆使して、毛髪内部の状態を可視化し、新たなケア成分を発見しました。この革新は、2024年11月に開催される「第2回日本化粧品技術者会 学術大会」で発表される予定です。
研究の背景
近年、髪型や髪色の多様化が進む中、多くの人が毛髪のダメージに悩まされています。これに対抗するため、タカラベルモントでは、毛髪内部の状態を確認し、効果的なケア方法を模索しました。特に注目したのは、FS-SR101染色技術です。この技術を用いることで、健康な毛髪は緑色(FS)と赤色(SR)に染まるのですが、ダメージを受けた毛髪ではこれらの蛍光が失われることが分かりました。
ケア成分の発見
今回の研究では、100を超えるトリートメント成分の中から、コルテックス領域への反応性が高い成分の組成物を発見しました。さらに、MALDI法による質量分析イメージングを通じて、特定のケア成分がコルテックス領域に吸着することが確認されました。この結果は、効果的な毛髪ケアの実現に向けた大きな一歩となります。
アルキル鎖の重要性
毛髪切片に直接処理した結果から、カチオン性界面活性剤のアルキル鎖長が染色パターンに大きな影響を与えることが確認されました。特に、アルキル鎖が18炭素(C18)である場合、非常に高い吸着性と反応性が見られました。これにより、毛髪のコルテックス領域への影響力が向上することが期待されます。
毛髪表面からのアプローチ
毛髪の切片以外にも、毛髪そのものに対しても同様の処理を行いました。その結果、毛髪表面からのアプローチでもコルテックス領域に影響を及ぼすことが確認されました。これにより、従来のアプローチに加え、表面からのケア方法の有効性も明らかになりました。
結論と今後の展望
研究チームは、より多くの人々が自由に髪型や髪色を楽しめるようになることを目指して、この研究に取り組んでいます。今後は、さらに効果的なケア法を開発し、製品化を進めていく予定です。また、持続可能な社会に貢献し、ヘアカラーやヘアスタイルをより楽しむためのさらなるサポートを行うでしょう。
この革新は、ヘアケア業界の発展にも寄与すると期待されています。タカラベルモントは、研究の成果を基にした製品開発に取り組み、ユーザーの楽しみをサポートしていく所存です。
この研究の発表は、タカラベルモント株式会社の毛髪研究部門が行ったもので、研究チームには荒井佑香さんをはじめとするメンバーが名を連ねています。タカラベルモントは、1921年に設立され、100年の歴史を持つ企業であり、今後も理美容業界のリーダーとして新たな技術開発に尽力していくことでしょう。