鹿島の自動化施工システムの最新展開について
建設業界が直面する人手不足や熟練工人材の減少は深刻であり、その解決策が求められています。鹿島はこの課題解決に向けて、自動化施工システム「A⁴CSEL」を開発し、主にダム工事に導入してきました。特に2020年度から適用した成瀬ダムでは、最大14台の自動化建設機械を少人数のITパイロットで運用し、62年ぶりに月間打設量の国内記録を更新しました。この成功を受け、鹿島は造成工事への「A⁴CSEL」適用を開始しました。
造成工事での新たな挑戦
岡崎市の阿知和地区工業団地造成事業は、約63ヘクタールの敷地に工業団地や周辺道路を整備するPFI事業であり、ここに自動化施工システムが適用されます。鹿島はこの現場での課題を抽出し、日々改善を行っています。今回、導入したのは自動化改造を施した振動ローラ2台。これにより、様々な地形や施工条件に対応する新たな施工計画システムがてら実施されるのです。
システムの特長
新たに開発された自動振動ローラ用施工計画システムは、現場条件に合わせて最適な施工計画を自動作成します。これにより、様々な形状や高低差に対応することが可能で、施工の効率化や安全性を高めることが狙いです。このシステムは、計画から施工までの一貫したプロセスを実現し、データは重機管理システムを介して自動運転プログラムへ流れます。
自動運転の流れ
1.
計画の生成: CADで作成された平面図から、自動振動ローラの転圧領域を取得。
2.
設定値の利用: 取得した領域と設定値を元に、自動振動ローラの実作業場所を生成。
3.
経路の自動生成: 作業領域データを重機管理システムに送信し、自動生成された経路で運転指示を送信。
4.
作業の開始: 自動振動ローラが自律的に作業を開始します。
このシステムによって、複雑な形状にも対応可能となり、2台の自動振動ローラがそれぞれの位置を正確に把握し、安全で効率的な施工が実現します。
今後の展望
鹿島では、造成工事への「A⁴CSEL」の普及を進め、システムの汎用性を高めるとともに、機種の拡充にも努めていく方針です。また、遠隔管制室の設置を進め、新たに「移動管制室」を立ち上げることで、施工の効率化や新たな働き方の提案を行う予定です。
施工概要
本工事は岡崎市の東阿知和町、西阿知和町及び真福寺町の地域で進められており、開発面積約63ha、土工量約250万m³という規模です。工期は2023年10月から2027年3月までとなっています。これにより、鹿島の確立された技術は現場での実績をもとに新たな挑戦と進化を迎えます。
建設業界における自動化の動きは、今後ますます広がることが期待されており、鹿島の取り組みはその一翼を担う重要な施策となるでしょう。