美術品鑑定に新技術
2024-09-24 13:06:55

旭化成とTISが美術品鑑定向けデジタルプラットフォームを導入!

旭化成とTISが美術品鑑定向けデジタルプラットフォームを導入



近年、美術品の偽造問題が深刻化する中、旭化成株式会社とTIS株式会社が共同で開発した偽造防止デジタルプラットフォーム「Akliteia(アクリティア)」が、美術品の真贋鑑定に活用されることが始まりました。この取り組みは、特に偽造防止と作品の保護を重視したものであり、初めての採用事例として棟方志功作品の鑑定に利用されることとなったのです。

美術品鑑定の課題と新技術の導入



これまでの鑑定方法では、作品に直接証明書を貼付し、証印や割印をするプロセスが行われていました。この方法では、偽造された鑑定書が贋作に貼られてしまう事例が多く、また鑑定書自体が剥がされてしまう危険性も存在していました。さらに、作品の来歴や過去の鑑定履歴を照合するためのデータ管理も煩雑で、多大な業務負荷を伴っていました。これらの課題を解決するため、Akliteiaの導入が決定されたのです。

Akliteiaプラットフォームは、偽造防止ラベル、真贋判定デバイス、ブロックチェーンといった三つの要素から成り立っています。特に注目すべきは、旭化成の独自の技術を活用し製造された透明な偽造防止ラベルです。このラベルには、サブミクロンという極めて高解像度の特殊パターンが印刷されており、偽造が難しい仕様になっています。

鑑定プロセスと特徴



棟方志功鑑定登録委員会では、このAkliteiaを活用し、偽造防止ラベルを作品、鑑定書、付属品に貼付し、真贋鑑定結果をブロックチェーンに記録します。これにより、作品の真正性が永続的に保証されるようになります。また、鑑定結果はデータベースに格納され、鑑定依頼者がいつでもアクセスできる体制としています。

この新しい技術により、偽造防止ラベルと真贋判定デバイスが連携し、作品を鑑定する際の証跡を明確に追跡できるようになります。鑑定者や鑑定日時もデータベースに記録されており、透明性が確保されています。これにより、過去に行われた全ての鑑定の履歴が一元化され、信頼性の高い情報提供が可能となります。

偽造防止機能と文化財保全の貢献



Akliteiaは、鑑定業界においても信頼性を高めるだけでなく、貴重な文化財の保護へも大きく貢献しています。従来の 手法では防ぎきれなかった偽造のリスクを軽減するだけでなく、作品が持つ歴史的価値を担保する仕組みが整えられるのです。

また、Akliteiaネットというクラウドサービスも設立され、製品の偽造状況をサプライチェーン全体で共有できる仕組みが整備されました。このことで、どの段階で偽造品が補充されたのかを把握し、状況の可視化を図ることが可能になっています。これにより、ビジネスプライバシーも確保しつつ偽造防止に役立てることができます。

専門家による支持と今後の展望



棟方志功鑑定登録委員会は、遺族や研究者を中心に構成され、専門的な知見を基にした鑑定会を開催しています。この組織は、志功自身が美術品の贋作の流通に心を痛め、積極的に鑑定業務を行うようになった背景があります。Akliteiaの導入に際しては、特許も申請しており、今後さらに広がる可能性が期待されます。

今回の取り組みを通じて、旭化成とTISは美術品鑑定業界における安全で正確な真贋判定の仕組みを提供し、文化財の保全と市場の健全化に寄与していく方針です。今後、他の文化財や美術品の分野でもこのプラットフォームが広がっていくことが期待されます。


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会社情報

会社名
旭化成株式会社
住所
東京都千代田区有楽町1-1-2日比谷三井タワー
電話番号
03-6699-3000

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