デジタル治療、急成長中の新市場
最近、医療とデジタル技術の融合は加速しており、デジタル治療(Digital Therapeutics: DTx)がその中心に立っています。株式会社シード・プランニングは、医師と患者を対象にしたアンケート調査を通じて、デジタル治療の実態を探りました。よって、2024年には国内市場が16億円に達する見込みであることが示されています。
調査の背景と目的
医療ニーズが多様化する中、デジタル治療は大きな可能性を秘めています。2020年には禁煙治療用アプリが保険収載され、2022年には高血圧治療補助プログラムも導入されました。これらの動きは、デジタル治療への関心が高まっていることを示しています。今後、アルコール依存症や注意欠如多動症の治療プログラムも保険適用となる見込みです。
さらに、欧米では多くのデジタル治療がFDAに承認され、革新的な治療法としての地位を確立しています。特に米国では、2019年から2024年にかけて35以上のデジタル治療アプリが認証を受けています。
調査方法と概要
この調査では、医師210人と患者520人のデータを集め、DTxの認知度や期待される利用シーン、さらには実際の利用状況について分析しました。調査項目には、治療用アプリの認知度、使用している疾患、メリットやデメリット、現状の課題などが含まれています。
調査結果の概要
DTxの認知度の変化
研究結果によると、医師のDTxの認知度は2020年の15%から2025年に51.9%に急増しました。一方、患者の認知度は2020年の5.8%から14.8%に上昇したものの、依然として10%を超えません。この結果は、患者の認知度向上が直近の課題であることを示しています。
最適な利用シーン
調査によれば、医師と患者の両者がデジタル治療アプリの最も適した使用法として「薬剤との併用による治療支援」を挙げました。特に、6割以上の医師と4割以上の患者がこの方法に期待を寄せています。
市場成長の予測
2024年には日本国内のDigital Therapeutics市場が16億円規模と推定されています。この傾向は今後も続く見込みで、2030年には66億円に達すると予測されています。この成長は、医療機器の承認プロセスが整備されることで、デジタル治療がより広がる可能性を示しています。
結論
デジタル治療の普及と受容性の向上は、医療提供者と患者の双方において重要なテーマとなっています。特に患者の認知度を向上させるための活動が求められています。デジタル治療が持つ潜在能力を最大限に引き出すためには、広報活動や教育が鍵となるでしょう。今後もこの領域は、さらなる革新と成長を見せることが期待されます。