リコー、大和ハウス工業、NTTがペロブスカイト太陽電池を社会実装へ

リコー、大和ハウス工業、NTTアノードエナジーが挑むペロブスカイト太陽電池

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構（NEDO）が選定したリコー、大和ハウス工業、NTTアノードエナジーによるコンソーシアムは、ペロブスカイト太陽電池の技術開発とその社会実装に向けた実証事業に着手することになりました。これにより、インクジェット印刷技術を用いた新しい太陽電池の開発が期待されています。

ペロブスカイト太陽電池とは？

ペロブスカイト太陽電池は、従来のシリコン系太陽電池に代わる新しい技術として注目されています。特に設置が困難だった耐荷重性の低い建物や壁面への適応が可能であり、再生可能エネルギーの普及に寄与する方法として大きな期待が寄せられています。今回のプロジェクトでは、リコーが持つインクジェット印刷に関する先進技術が活用され、ペロブスカイト太陽電池の生産性向上とコスト削減が目指されます。

各社の役割分担

リコー

リコーは、これまで複合機の開発で培ってきた感光体技術やインクジェットヘッド技術を駆使して、高効率かつ高耐久のペロブスカイト太陽電池の実現を目指します。この印刷技術により、多様なデザインやサイズのカスタマイズが可能となり、太陽電池の利用範囲が広がります。

大和ハウス工業

大和ハウス工業は、自社の環境配慮型設備の導入実績を活かし、データセンターや物流倉庫におけるペロブスカイト太陽電池の施工技術を開発します。その取り組みによって、大型施設への太陽電池の導入が進み、持続可能な社会の形成に寄与します。

NTTアノードエナジー

NTTアノードエナジーは、60年以上にわたり太陽光発電に関するエンジニアリング技術を蓄積してきました。最新のペロブスカイト太陽電池に関する発電特性の研究を通じて、発電効率を最大限に引き出すための設計や開発を行います。特に、複雑な形状の屋根や壁面への設置時に発生する発電量の減少に対しても、独自のソリューションを考案しています。

未来へ向けた計画

このプロジェクトは、屋根や外壁、さらには防水材など、関連する様々な部材メーカーとも連携しつつ進められます。期間は2029年度までの5年間を予定しており、その間に年間製造能力300MWを超え、発電コストを14円/kWh以下に抑えることを目指します。この取り組みが成功すれば、2030年度にはペロブスカイト太陽電池における新たな常識が生まれるでしょう。

ペロブスカイト太陽電池は、再生可能エネルギーの普及において重要な役割を果たすことが期待されており、リコー、大和ハウス工業、NTTアノードエナジーの連携によって、その社会実装が一歩ずつ近づいているのです。