持続可能な未来へ向けての新たな取り組み
住友林業とレンゴーが、木質由来のバイオエタノール生産に関する基本合意書を締結した。この協業は、建築廃材を利用した持続可能な航空燃料であるSAFの製造を目指すもので、今後の環境対策において重要な一歩となる。具体的には、住友林業が住宅建設の際に発生する木くずを原料として活用し、レンゴーによって生産されるバイオエタノールは、航空燃料としての役割を果たすことになる。取り組みは2030年を見据え、2050年のカーボンニュートラル達成を目指すものである。
協業の内容
協業は、両社が出資した共同会社を設立し、2025年12月を目途に本格的な生産体制を整える。年間20万キロリットルの商業生産を目指す中で、製造されたバイオエタノールは燃料事業者への販売を通じて、SAFに転換される。商品化に向けた技術導入は、レンゴーの子会社である株式会社Biomaterial in Tokyoの技術を活用する。
また、リグニン成分の再利用にも着目しており、住宅用塗料等の製造にも取り組むことで、資源を効率的に活用するビジネスモデルの確立を目指している。これにより、無駄を減らし、地域経済の活性化にも寄与することが期待されている。
背景と必要性
地球温暖化は重大な課題であり、特に航空業界におけるCO2排出量削減は急務である。国際民間航空機関(ICAO)やIATAが2050年までの実質ゼロCO2排出を目指す中で、SAFは極めて重要な手段とされている。しかし実際には供給量が極めて少なく、2050年には4.5億キロリットルが必要とされるにもかかわらず、2022年の供給量はわずか30万キロリットルに過ぎない。これに対し、日本政府も2030年までに国内航空会社の1割をSAFに置き換える目標を掲げている。
他方で、廃食油やトウモロコシなどの原料でSAFをデリバリーする技術は確立されているが、需要に対して原料供給は不足気味であり、今後の原料の多様化が求められている。ここで木質バイオエタノールという新たな選択肢が登場し、サステナブルな材料として期待されている。
住友林業の取り組み
住友林業では新たに「バイオリファイナリー推進室」を設立し、木材由来のバイオマス資源を活用した新事業を開発している。これにより、バイオエタノールの量産技術の確立と化石燃料からの脱却を目指している。住友林業の長期ビジョン「Mission TREEING 2030」では、森林からのCO2吸収力を高め、木材を活かした建築普及を図ることで、社会全体の脱炭素への貢献を目指している。
全体的な影響
住友林業とレンゴーのこの連携は、単なる技術開発に留まらず、地域経済への波及効果も大いに期待されている。廃材リサイクルによる新たなビジネスモデルの確立が地域の持続可能性を高め、さらには新たな雇用創出にもつながることでしょう。環境循環型社会の実現に向けて、今後の動きが楽しみである。
まとめ
地球温暖化対策に重要な役割を果たすことで期待される住友林業とレンゴーの新たなバイオエタノール製造プロジェクト。持続可能な航空燃料へとシフトする動きは、今後の経済戦略の一環として、さらに加速されることが望まれます。