日本職場に広がるシャドーAI:無許可の生成AI利用とリスク管理
日本職場に広がるシャドーAI:無許可の生成AI利用とリスク管理
最近の調査によると、日本のSTEM(科学、技術、工学、数学)人材の約3分の1が会社の許可なく生成AIを利用していることが明らかになりました。この現象は、無許可でAIを使用する「シャドーAI」として知られ、企業のガバナンスに新たな課題をもたらしています。
この調査は、グローバルな人材紹介企業SThreeが実施したもので、日本のSTEM人材851人を対象に行われました。調査結果によると、無許可の生成AIを利用する理由としては、生産性の向上や業務の効率化が挙げられています。実際、52%の回答者が作業のスピードを上げるために無許可のツールを使用していると答えました。
一方で、無許可のツールを使用していない人たちも約3分の1存在し、その理由の多くは組織の方針に従うためです。DBプライバシーへの懸念や企業システムによってAIサイトへのアクセスが制限されていることも、利用を控える理由としてよく挙げられています。
生産性向上の葛藤とコンプライアンス
STEM人材が無許可のAIを使用する動機は、生産性向上以外にも、スキルの補完や新たな機能の探索があるようです。しかし、このような無許可の利用は、企業にとって大きなリスクを伴います。調査では、68%の回答者がデータのプライバシーに懸念を持ち、65%がアウトプットの品質から来るリスクを認識していると答えました。
企業側ではAI利用に関するルールを整備し、許可されたAIソフトウェアの使用を認めることでリスクを管理しようとしていますが、まだまだ不十分であると感じている人も多く存在しています。実際、約11%のSTEM人材は、承認されたツールでは必要な機能が得られないと感じ、無許可のツールに頼る傾向が見受けられます。
認識のギャップとリスク
無許可のAIツールの利用について、リスクをしっかり理解していると回答したのはわずか21%。一方、33%はリスクについて全く考えたことがないと述べています。この認識の差が、データの漏洩やコンプライアンスの違反を引き起こす原因となる恐れがあるため、企業としては適切な教育と情報提供が要求されます。
STEM人材は生成AIを用いて業務効率を上げたいと考える一方で、それに伴うリスクについては十分に認識していないことが多いのです。
イノベーションとガバナンスの両立
調査結果は、日本企業にとって大きな警告を発しています。無許可でAIを利用するSTEM人材の割合は、企業のIT部門やセキュリティ部門へ注意を促すサインとなっているのです。企業側は、この現状を受けて公式なAIツールの整備や、従業員に向けた教育、コミュニケーションを強化していく必要があります。
また、企業はAIに関する明確なガイドラインを設定し、従業員が安心して使用できる環境を整えることが重要です。これにより、生産性を向上させつつ、リスク管理も同時に行うことができるでしょう。
データ漏洩を防ぐためには、企業が一層厳格な方針を立て、従業員に教育を施し、コンプライアンスを遵守する体制を整えることが欠かせません。将来的なAI導入を進めるためにも、これらの点をしっかりと対策し、組織として積極的な対応を求められています。
会社情報
- 会社名
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SThree株式会社
- 住所
- 東京都中央区銀座4-12-15歌舞伎座タワー9階
- 電話番号
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