スーダン・ザリンゲイ病院における武装襲撃の影響
2024年8月16日、スーダン・中央ダルフール州のザリンゲイ病院が武装襲撃を受ける事件が発生しました。この襲撃により、1名が死亡し、医療スタッフを含む5人が負傷しました。国境なき医師団(MSF)は、医療活動の停止を余儀なくされ、約50万人の住民に影響が及ぶ事態となっています。
武装襲撃の詳細
襲撃は、夜8時20分頃に起こりました。近隣の避難民キャンプから搬送された銃傷の男性が救急室に入ると、彼の武装した親族が病院に強引に侵入。その直後、別の銃創患者も到着し、病院内での緊張が高まっていきました。午後10時には救急治療室前で手りゅう弾が爆発し、惨事に至ったのです。
MSFの緊急対応コーディネーターであるマルワン・タヘルは、もしこの事件が日中の混雑した時間帯だったら、さらに多くの命が失われていた可能性があると語ります。「医療を提供することは望ましいものですが、スタッフの命を危険にさらすわけにはいきません」と語るタヘルの言葉は、医療現場の厳しさを物語っています。
コレラ治療への影響
ザリンゲイ病院は2024年の8月1日からコレラ対策を進めており、州保健省と連携して162人の患者を治療してきました。しかし、襲撃による活動停止で、コレラやその他の重症患者の治療ができなくなる可能性が高まっています。この病院は、地域で唯一の二次医療施設であり、医療の提供ができない状況は非常に深刻です。
また、今年5月から7月までに、同病院は1500件以上の産科診療と1400件以上の小児科診療、80件の手術を行い、50万人以上に医療サービスを提供してきました。今回の活動停止により、移動診療や地域支援活動も中断せざるを得ず、数千人が必要な治療を受けられなくなっています。
医療スタッフの安全確保
40年以上にわたり、MSFは疾患の蔓延や栄養失調に直面する人々を支援してきましたが、今回の襲撃は2024年2月にも発生した病院への侵入事件に続くものであり、過去1年半で2度目の重大な事件となります。タヘルは、医療施設への攻撃が許されないことを強調し、「病院や医療スタッフの安全が保証されなければ、活動の継続は不可能」と警告しています。
現在、多くの人々が医療へのアクセスを必要としている中、MSFはすべての紛争当事者に対して、医療スタッフと患者の安全を確保するよう訴えかけています。医療現場の安全が守られてこそ、被災地の医療提供が持続可能であると言えるのです。私たち一人ひとりも、この問題について関心を持ち、国際的な医療支援の重要性を理解する必要があります。