AEDの内部データ解析から得られた貴重な知見と今後の展望
AEDの内部データ解析から得られた貴重な知見と今後の展望
最近、NPO法人ちば救命・AED普及研究会が行ったAEDの内部データ解析に関する研究が、医学界の権威ある雑誌『Resuscitation』に掲載されました。日本光電工業株式会社と、鉄道会社2社の協力を得て実施されたこの研究では、駅構内に設置された自動体外式除細動器(AED)の実利用データを詳細に分析しました。
研究の背景と目的
心停止時の迅速な対応が生死を分けることは周知の事実です。AEDは一般市民でも使用できる重要な医療機器として、公共の場での設置が進められています。しかし、設置されたAEDの使用頻度には大きなばらつきがあり、より効果的な設置場所や運用方法の再検討が求められていました。
本研究では、実際に駅に設置された1,066台のAEDの内、305台が384回使用されたデータを基に、使用パターンを解析しました。これにより、AEDが本当に必要な場所を見直すための貴重な情報が得られました。
研究の結果
調査の結果、384回の使用のうち約28.4%にあたるケースで、電気ショックが必要となる心電図波形が確認され、その大部分で電気ショックが実施されました。また、AEDの電源を入れてからパッドを装着するまでの時間は、中央値で53秒という迅速な対応がなされており、電気ショックが可能になってからボタンが押されるまでの時間もわずか5秒であることがわかりました。
この結果は、一般市民がAEDをいかに迅速に操作できるか、またどれだけ効果的に救命行動が取られているかを示しています。しかし、興味深いことに、使用されたAEDもあれば、一度も使用されていないAEDもあり、設置場所や駅の構造、利用者数が使用頻度に大きな影響を与えることが明らかになりました。
未来への提言
このデータをもとに、私たちは今後もAEDの設置戦略の見直し、さらには市民が迷わずAEDを使用できる環境づくりに努めていきます。AEDの効率的な設置を行うためには、利用者の行動に基づいたデータ分析が不可欠です。公共の場で命を救うため、私たちの知見を活かして設置場所や運用方針を見直し、さらなる普及を図る必要があります。
結論
AEDの内部データから得られる高精度な知見は、今後の救命活動において非常に価値のある宝となります。私たちちば救命・AED普及研究会は、市民の皆さんが「いざ」という時にAEDを使えるような社会を目指し、引き続き研究や活動を進めてまいります。
会社情報
- 会社名
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特定非営利活動法人ちば救命・AED普及研究会
- 住所
- 千葉県市川市宮久保3丁目1番23号
- 電話番号
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