デジタル証明書の新しい未来に向けて
日本住宅ローン株式会社(以下、MCJ)は、このたび「DID/VC共創コンソーシアム」(DVCC)に参加し、分散型ID(DID)技術を利用したデジタル証明書(VC)の普及を目的とした取り組みを開始することを発表しました。このコンソーシアムには、2024年11月時点で49社が参画しています。
MCJは、DVCCの「本人確認分科会」にて、取引時確認をVCを活用して効率的に実施する新たなスキームを検討しており、金融庁の「FinTech実証実験ハブ」の支援を受け、この実証実験が採択されたことで新たな進展が期待されています。
実証実験の概要と目的
今回の実証実験では、犯罪収益移転防止法(犯収法)に基づき、金融機関が行う取引時確認の結果を利用者自身が管理し、他の金融機関との取引に再利用できる新たな手法の効果を検証します。これにより、利用者は異なる金融機関に対して何度も同じ取引時確認を行う手間を省きつつ、必要な厳格性も維持されることが期待されています。
具体的には、VCをもとに、金融機関が実施した本人確認結果を、他の取引に流用することができる仕組みを実現します。この取組により、マネー・ローンダリングやテロ資金供与防止をより効果的に実施することが可能になるとしています。
実証実験は2024年12月から2025年3月までの期間で行われ、参加する金融機関は実機による検証を実施します。関連技術や相互運用性についても評価される予定です。
今後の展開
DVCCでは、この実証実験の結果を基にして、実運用に向けたVCの運用ルールやガバナンスフレームワークを策定することを目指しています。これが成功すれば、銀行口座の開設や住宅ローン契約の他、クレジットカード発行や証券口座の開設に向けた活用も見込まれています。
特に、金融機関における本人確認の新しい方法について検討する「本人確認分科会」は、2024年6月に設立され、その実現性と有効性を確認するための重要な場となっています。
金融庁の支援とフィンテックの推進
金融庁は、フィンテック分野のイノベーションを後押しするための「FinTech実証実験ハブ」を設置しており、その目的は、前例のない実証実験を行う際の懸念を払拭し、支援を提供することにあります。この実験を通じて、金融機関とフィンテック企業の協力が推進され、業界全体の透明性向上や業務のデジタル化が加速することが期待されています。
日本住宅ローン株式会社は、こうした取り組みを通じて、社会のデジタル化を進め、金融業界の未来を切り拓く存在としても貢献していきます。今後の動向にぜひ注目していきたいところです。