カスハラ問題、弁護士の半数以上が被害経験 - 新たな法規制を求める声
顧客からの悪質なクレームや威圧的な言動によって、従業員の就業環境が著しく悪化する「カスハラ(カスタマーハラスメント)」が深刻化しています。東京都は今年度中に、カスハラ防止条例の制定に向けて本格的な議論を開始する予定です。また、厚生労働省も、パワハラ防止を義務付けた労働施策総合推進法の改正を進め、カスハラについても企業側に従業員保護の義務付けを検討しています。
弁護士ドットコムが実施した調査では、登録弁護士の半数以上がカスハラ被害を経験しており、その多くが新たな法規制の必要性を訴えています。
東京都のカスハラ防止条例制定への期待
東京都のカスハラ防止条例制定について、半数以上の弁護士が「期待できる」と回答しました。条例の存在によって、企業が顧客対応を行う際に、毅然とした対応が可能になるという期待感が見られます。一方で、「条例だけでは抑止力にならない」「顧客の意識改革が重要」など、懐疑的な意見も少なくありません。
企業へのカスハラ対策義務付け - 賛否両論
企業に対し、パワハラやセクハラ対策と同様に、カスハラ防止対策を義務付けるべきかという問いには、約半数の弁護士が「必要」と回答しました。企業が労働者の安全を守るために、積極的な対策を講じるべきという意見が多く見られます。
一方で、「顧客の行為を企業が全て管理することは難しい」「企業に責任を押し付けるのは不当」など、企業への義務付けに反対する意見も存在します。
カスハラ対策 - 顧客への法的措置が重要
カスハラをなくすためには、顧客に対して、企業が実際に法的手段をとることが重要だと考える弁護士が多数いました。警察による対応強化を求める声も高いです。
弁護士へのカスハラ相談 - 相談内容の多くは加害者への対応
弁護士は、顧問先の企業などから、カスハラに関する相談を頻繁に受けています。相談内容の多くは、加害者への対応、特に法的措置を含まない対応に関するものです。
弁護士への相談では、理不尽な要求や言いがかり、過去に遡る迷惑行為など、様々なカスハラ事例が報告されています。
カスハラ相談は増加傾向
弁護士の半数以上が、過去3年間でカスハラ相談が増加していると回答しました。
弁護士自身もカスハラ被害に
弁護士自身も、依頼者や相談者からカスハラと感じる言動や行動を受けた経験を持つ人が多くいます。特に多いのは、暴言や些細なミスに対する過度な要求、面談での長時間拘束、誹謗中傷などです。
カスハラ対策の重要性
弁護士ドットコムの調査結果は、カスハラ問題が深刻化しており、新たな対策が必要であることを示唆しています。企業は、顧客対応に関する研修やマニュアル整備など、カスハラ防止対策を強化する必要があります。また、顧客に対しても、カスハラ行為の悪質性を認識させ、倫理的な行動を促すことが重要です。
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