内航海運の未来を拓く『NX補助金』 - DX・GXで革新を加速
国土交通省は、内航海運の変革を促進するため、DX(デジタルトランスフォーメーション)やGX(グリーンイノベーション)に対応した技術開発・実証事業を支援する『NX補助金』を創設しました。
2024年2月29日から4月8日にかけて募集された本補助金には、内航事業者と造船・舶用事業者から多くの応募があり、その中から9件の革新的な事業が採択されました。
採択事業の概要 - 物流革新、洋上風力発電関連など多岐にわたる技術開発
採択された事業は、大きく3つのカテゴリーに分けられます。
1. 物流革新DX: 内航船の荷役や設備点検の効率化、船員労務負荷の軽減など、デジタル技術を活用した革新的な技術開発が進められています。
- - 内航ケミカルタンカーにおける荷役DXおよび設備点検DXの技術開発: 中北製作所などが、荷役作業の自動化や遠隔監視システムの開発により、効率化と安全性の向上を目指します。
- - 着桟・係船作業支援のためのLiDAR技術を用いた舶用バース距離計の技術開発: ハブネスなどが、LiDAR技術を用いたバース距離計の開発により、安全で効率的な着桟・係船作業を実現します。
- - 係船作業と投錨作業の船員労務負荷低減に向けたウインチの高機能化についての技術開発: SKウインチなどが、ウインチの自動化や遠隔操作機能の開発により、船員の負担軽減を目指します。
- - 内航船の船員労務負荷低減と環境負荷低減、安全性確保の両立を実現する陸上遠隔サポートシステムの技術開発: SIM-SHIPなどが、陸上からの遠隔操作システムの開発により、船員の負担軽減、安全性の向上、環境負荷の低減を目指します。
- - 内航ケミカルタンカーにおける「スロップタンク洗浄作業」及び「タンク洗浄水排出作業」の遠隔自動化システムの技術開発: 明和海運などが、遠隔操作システムの開発により、スロップタンク洗浄作業の効率化と安全性の向上を目指します。
- - 小型旅客船用自動(遠隔)係船装置の技術開発: MHI下関エンジニアリングなどが、自動係船装置の開発により、小型旅客船の安全な係船を実現します。
2. 物流革新GX: 環境負荷低減に貢献する技術開発が注目されています。
- - リアルタイム潤滑油診断による機器の状態監視技術の開発: トライボテックスなどが、潤滑油の状態をリアルタイムで監視する技術を開発することで、機器の故障を予防し、環境負荷低減に貢献します。
3. 洋上風力発電関連船舶: 日本の洋上風力発電事業の発展を支える技術開発が進められています。
- - 洋上風力発電作業員移送船専用高摩擦防舷材の技術開発: きんでんなどが、洋上風力発電作業員移送船専用の防舷材の開発により、安全な作業環境を実現します。
- - 洋上風力発電施設向け作業員輸送船の操船支援システムによる船員負荷低減技術の開発と船員不足に対応するコンセプト設計: イコーズなどが、操船支援システムの開発により、船員の負担軽減と船員不足対策を目指します。
内航海運の変革への期待
これらの技術開発は、内航海運の効率化、安全性の向上、環境負荷低減、船員の負担軽減に大きく貢献すると期待されています。日本の物流業界の活性化、さらには持続可能な社会の実現にも繋がる革新的な取り組みと言えるでしょう。
今後も、国土交通省は『NX補助金』を通じて、内航海運の変革を積極的に支援していくことで、日本の海運産業のさらなる発展を目指していくとのことです。