住友林業、木被覆鉄骨部材「木ぐるみHB」で新たな展開
住友林業株式会社は、社長の光吉敏郎が率いる企業で、今期において特に注目すべき取り組みを発表しました。それが、木被覆鉄骨部材「木ぐるみHB」のライセンス契約です。この契約は、3つの集成材メーカーとの間で交わされ、11月からその製造と販売が開始されました。この取り組みは、初めて自社開発の部材を他社にライセンス提供する形で行われます。
ライセンス契約の内容
今回の契約により、齋藤木材工業株式会社、株式会社志田材木店、藤寿産業株式会社の3社が「木ぐるみHB」の柱を製造・販売することになります。住友林業はこれを通じて、中大規模建築物での木材利用を加速させることを目指しています。特に、オフィスや教育施設における木質化の進展が期待されており、持続可能な資源循環の促進につながると考えられています。
木ぐるみHBの特長
「木ぐるみHB」は、耐火構造部材としての特性を持ち、1時間の耐火性能を国土交通大臣から認定されています。デザインはI字形状に改良され、これまでのL字形状に比べてよりシンプルになりました。この設計変更により製造コストは約20%削減され、現場での施工性も向上しました。
環境への配慮
木ぐるみHBの柱は、カラマツ材とスギ材を活用した二層構造により、木材のみでの被覆が実現されています。この結果、温室効果ガス(GHG)の排出量を抑制し、環境負荷を軽減することが可能になりました。これまでの耐火部材は、石膏ボードなど無機材料を併用することが一般的でしたが、全て木材のみで構成される本部材は新たなアプローチと言えるでしょう。
効率的な施工プロセス
木ぐるみHBの部材は、現場施工が可能で、分割された被覆パーツを直接建設現場に搬入できます。これにより、施工が効率化され、鋼管柱への被覆が容易に行えるように設計されています。施工時の汚れや傷を大幅に防ぐことができ、施工の進行もスムーズになります。また、運搬性も向上しており、現場への搬入が容易になっています。
今後の展望
住友林業は今後、鉄骨造やRC造の中大規模建築物における木材の利用を一層推進し、木質化を進めるための取り組みを続けていく意向を示しています。建築物の木造・木質化に向けて、さらなるライセンス契約の拡大も計画されています。また、2030年までの長期ビジョン「Mission TREEING 2030」に基づき、森林から木材建材の製造、流通に至るまでの一連の事業をグローバルに展開し、持続可能な社会の実現に向けて貢献していく所存です。これは、社会全体の脱炭素化にも寄与する取り組みとなるでしょう。
木被覆鉄骨部材「木ぐるみHB」の普及は、住友林業の戦略的展開の一環として、今後の建築業界に新たな風をもたらすことでしょう。環境負荷の低減や木材利用の促進は、まさにこれからの社会に必要とされる大きな課題であり、住友林業の取り組みがその解決にどのように寄与するのか、引き続き注目していきたいと思います。