価格の背後にある価値の哲学
2025年12月5日、株式会社主婦と生活社から新刊『高く売るフランス人 安く売る日本人』が出版されます。本書は、著者である高橋克典が、長年日本とフランスで活躍してきた経験を基に、日本企業が「安い国」から脱却し、世界で生き抜くためのヒントを提供します。
なぜ高ブランドが選ばれるのか?
著者は、なぜフランスのブランド、具体的にはシャネルやルイ・ヴィトン、エルメスが高価格を維持し続けられるのかという問いを立てます。それに対し、日本はデフレと人口減少が続き「安い国」として知られるようになりました。高橋氏は、日本とフランスの間にある根本的な違いを探り、どのようにしてブランドや文化を活用し、商品やサービスを「高く売る」ことに成功しているのかを分析しています。
フランス流の価格戦略
本書では、フランス企業が「値下げ競争」に巻き込まれない理由や、経営者が「価格を上げても選ばれる」ための仕組み作りについて詳しく述べています。特に、ルイ・ヴィトンのモノグラムや「ケリー」「バーキン」などが職人技によって支えられていることに焦点を当て、その高価格戦略とブランド経営のモデルケースを明示します。さらに、シャネルとユニクロの違いを通じて、実際の販売方法の本質を学び、五感と哲学で情緒的価値を高める方法も提案されています。
日本企業に必要な価値の再発見
著者は、日本の企業が必要としているのは「人・モノ・サービスの価値を高める力」であると訴えます。長年のビジネス経験を通じて得た知識や、日本とフランスの労働者のマインド、社会的背景の違いを徹底的に分析し、今後の日本経済が成長するためのノウハウを盛り込んだ内容です。
働き方と文化の違い
本書では、フランス流「休みながら成果を出す」働き方の秘密や、たとえ店員の対応が不十分でも顧客が離れない理由なども紹介されています。フランスのシャンパンが値崩れしない背景にあるビジネスの本質や、ブランドを守る姿勢に学ぶ重要性も解説し、単なる働き方本や国際比較本にとどまらない内容となっています。
目次紹介
1.
フランス流“価値を下げない”働き方戦略
- - シャンパンはなぜ値崩れしないのか?
- - 「早く引退したいフランス人」と「長く働きたい日本人」
2.
競争力の源泉「はみ出し」
- - はみ出すフランス人 vs. はみ出さない日本人
- - フランス式自己主張の技術他
3.
老舗企業の高価格戦略
- - LV(ルイ・ヴィトン)のモノグラム
- - 職人技が支えるブランド経営他
4.
制度と文化に基づく摩擦
5.
地方ブランドの本質
6.
価格は哲学である
7.
二国間のパワーバランス
著者プロフィール
高橋克典(たかはし・かつのり)は、1957年東京生まれで、玉川大学文学部フランス語専攻を卒業後、ハナエモリに入社。その後、フランス商工会議所からディプロムを取得し、欧州ファッションブランドの日本市場におけるマーケティングとコンサルティングに従事しました。現在は、フランス靴企業アルシュの代表取締役として活動しています。
この新刊は、ブランド戦略や働き方のヒントを得たい方にとって、非常に参考になる内容です。日本の企業文化に新たな風を吹き込み、より高い価値を提供するための一助となることでしょう。