2024年度日本企業の経営課題：人材強化と収益性向上が急務に

一般社団法人日本能率協会が実施した「2024年度（第45回）企業経営課題に関する調査」の結果が最近公表されました。この調査は1979年から続いており、日本企業が直面する経営課題を洗い出し、今後の方向性を探ることを目的としています。今回の調査では、特に当面の経営課題に関する重要なポイントが明らかにされました。

1. 突出した「人材強化」と「収益性向上」

調査によると、企業が現在抱えている課題の中で特に「人材の強化」と「収益性の向上」が目立っています。それぞれ約5割の企業がこの2つの課題を重要視しており、特に「人材の強化」はここ2年にわたり上位を占めています。生産年齢層の減少による人材獲得競争はますます激化しており、企業はこの流れに対応する必要があります。また、「収益性の向上」は、原材料費やエネルギー価格の高騰、人件費の上昇など、様々なコストの圧力に直面しており、急務となっています。

2. 3年先を見据えたデジタル技術の重要性

調査結果では、3年後の課題として「人材の強化」が依然として高い割合を占めていますが、新たに「デジタル技術・AIの活用」が重要度を増していることが指摘されています。これにより、AIの利用ランクは11位から7位に上昇し、業界全体でのデジタル化への期待が高まっていることを示しています。しかしながら、収益性の向上は低下しているため、企業は短期的なコスト管理と長期的な技術投資のバランスを取る必要があります。

3. 大企業は事業ポートフォリオ再構築に注力

従業員規模別に見ると、大企業が「事業基盤の強化」と「事業ポートフォリオの再構築」を極めて重視していることが分かりました。これは今後の経済環境を踏まえて、積極的な事業の再編が求められているためと考えられます。一方、中堅企業や中小企業は人材の確保とそれに伴うエンゲージメント向上が急務となっています。

4. 組織・人事課題の明確化

組織・人事に関する課題では、大企業は「次世代経営層の育成」や「動的な人材ポートフォリオ」の推進が重要視されています。特に人材戦略と経営戦略の連動が求められており、必要なスキルを持った人材の機動的な配置が焦点となっています。一方で、中堅・中小企業は人材の採用において難しさを感じており、離職防止に取り組むことが急務とされています。

結論

日本企業が今後直面する経営課題は多岐にわたりますが、特に人材の強化と収益性の向上が浮き彫りになっています。この状況を改善するためには、企業の戦略を見直し、柔軟に対応することが不可欠です。企業各社は、これらの課題に真剣に取り組むことで、持続可能な成長を描いていかなければなりません。日本能率協会が今後公開する報告書には、より具体的な戦略と見解が示されることが期待されています。