家具デザインの歴史を学ぶ新たな一冊
株式会社青幻舎より、建築家かつデザイナーとしての顔を持つ寺田尚樹氏の書籍『モダンファニチャーヒストリー 今さら聞けない!歴史から読み解く家具デザイン』が2026年1月下旬に刊行されます。この新刊は、家具デザインの歴史を深く探求し、デザインの背後にある人間関係や文化的背景を解明することを目的としています。
著者の寺田氏は、イギリスのAAスクールで建築を学び、幅広いデザイン分野での経験を積んできた稀有な存在です。本書では、彼の豊富な知識とデザイナー視点を活かし、18世紀半ばのイギリスに始まる産業革命以降のモダンファニチャーの変遷を詳述します。トーネットやイームズ、ウェグナー、さらには日本の岡本太郎や倉俣史朗など、知名度の高いデザイナーやその作品に焦点を当て、各国のデザインの特徴を分かりやすく解説しています。
目次の構成と内容
本書は、ドイツ、アメリカ、イタリア、スカンジナビア、日本の五つの章に分かれており、それぞれの地域ごとのデザインの進化を年表とともに辿っていきます。具体的には、以下のような構成が特徴です。
1.
質実なドイツ
ドイツの家具デザインにおける機能性と美しさを探求します。
2.
裕福なアメリカ
アメリカにおけるデザインの独自性と多様性を分析します。
3.
陽気なイタリア
イタリアのカラフルで革新的なデザインを紹介します。
4.
清貧なスカンジナビア
スカンジナビアンデザインの魅力とその影響を考察します。
5.
懸命な日本
日本独自のデザイン文化を深堀し、その進化を探ります。
各章では、関連するトピックや貴重なエピソードを収めたコーナーも用意されており、読み物としての楽しさと知識を同時に提供します。このように、各地域のデザインの流れを網羅的に理解することで、読者に歴史の全貌を明らかにする一助となるでしょう。
歴史的文脈とデザインのつながり
寺田氏は、歴史を一つの流れとして捉え、それぞれの地域が互いにどのように影響を与え合っているのかを明瞭に示しています。たとえば、スカンジナビアンデザインがアメリカで紹介された際の背景や、それに触発されたJapanese Modernの思想がどのように誕生したのかを通じて、歴史的な文脈を大切にしています。
また、ユニークな視点で各時代のデザインを捉え、著者による手書きの年表も収録されており、時系列に沿ってデザイン史を辿ることができる、視覚的にも楽しめる内容となっています。
まとめ
『モダンファニチャーヒストリー』は、ただのデザイン書ではなく、文化や人間関係を掘り下げることで、家具デザインの豊かさと奥深さを伝える一冊です。デザイナーやデザイン愛好者にとって、歴史を学ぶ新しい道標となることでしょう。最新の知見を交えながら過去を紐解く本書は、これまでにないデザインの教科書として必携の一冊です。