アストラゼネカが共催した健康寿命延伸に向けたフォーラムの全容

アストラゼネカが共催する健康寿命延伸フォーラム

2025年5月15日、大阪・夢洲で開催されている2025年日本国際博覧会（大阪・関西万博）において、アストラゼネカ株式会社が共催する「トランスフォームケア（保健医療の変革）」フォーラムが行われました。このフォーラムは、健康寿命の延伸を目指すもので、多彩なステークホルダーが参加し、医療の現状について議論を交わしました。

高齢化社会における医療の課題

日本は急速に高齢化が進んでおり、がんや循環器疾患、呼吸器疾患などの非感染性疾患（NCDs）の患者が増加しています。2022年のデータによると、日本の総死亡数の85%がNCDsによるものです。こうした課題に対し、政府は早期診断や早期治療の促進を求めており、自国の健康増進を推進する施策が立案されています。

「健康日本21（第三次）」によれば、NCDsの有病患者数の増加が懸念され、医療・介護の質の向上が求められています。そのためには、医療データの活用や医療DXの推進が不可欠です。

フォーラムの内容と議論

フォーラムはグローバルセッションとジャパンセッションの二部構成で、世界各国の専門家が参加しました。グローバルセッションでは、保健医療制度の変革とそれに伴う医療サービスの質の向上がテーマで、確かなエビデンスに基づく政策立案の重要性が強調されました。特に、COPD（慢性閉塞性肺疾患）における早期の診断と治療の重要性が挙げられました。

日本国内のCOPD患者数は約38万人である一方、潜在的な患者数は500万人以上とされており、早急な対策が必要です。

ジャパンセッションの重要議題

ジャパンセッションでは、以下の三点が主に議論されました：

1. 科学的根拠に基づく疾患の定義とデータの整備
COPDに関する疫学データの限界を指摘し、国との連携を進める必要性が強調されました。

2. 地域医療における多職種連携の強化
早期診断と治療促進のために、一般医師でも利用できる診断補助ツールの導入が提案されました。

3. 医療DXを活用した持続可能な地域医療モデルの構築
PHRやEHRといった医療情報システムの造り方についても議論され、地域医療体制の発展が求められています。

COPD医療の変革に向けた共同宣言

フォーラムでは、COPD医療の変革に向けた共同宣言も行われました。参加者は以下の目標を共有しました：

- 疫学データの整備と明確な疾患定義の確立
- 一般診療医にも使える診断支援ツールの導入
- 多職種での連携強化

また、持続的な地域医療モデルの探求も求められました。

結論

アストラゼネカのフォーラムは、NCDs対策と健康寿命延伸に向けた多方面での協力の重要性を示しました。今後の医療政策や地域医療体制の発展が期待される中、各専門家が意見を交わし、今後の取り組みに繋がる成果を収めることが期待されます。

次回のイベントとして、2025年6月30日にはPHSSRサミットが予定されており、さらなる議論が展開される予定です。このフォーラムを通じて、多くの患者とその家族が健やかな未来を迎えられることを願っています。