デンソー、製造業AIデータプラットフォームCADDiの導入
株式会社デンソーは、製造業のデジタル変革に向けて、キャディ株式会社(以下、キャディ)が提供するAIデータプラットフォーム「CADDi」を導入しました。このプラットフォームは、社内向け生産ラインの内製設計機能を持つ工機部門において、業務の効率化と改革を実現することを目指しています。
チャレンジと背景
デンソーは愛知県刈谷市に本社を置く自動車部品メーカーで、売上高は7兆円を超え、品質と信頼性に優れた製品開発を行い続けています。しかし、同社も業界全体が直面している課題として、優秀なベテラン技術者の引退が控えていることがあります。長年培った暗黙知やノウハウが失われるリスクに対し、キャディのCADDiはその問題解決の手立てとなります。
デンソーの工機部門は70年にわたる歴史を有し、年間で約1500台の生産設備を製作していますが、この部門でも若手人材の採用が難しくなっています。そこで、CADDiを導入し、ベテラン社員の知見を資産化することが決定しました。
導入の効果
CADDiのプラットフォームには、製造業データ活用クラウド「CADDi Drawer」と、製造業AI見積クラウド「CADDi Quote」が含まれています。これらを活用することで、見積作業の時間が大幅に短縮され、部品のグルーピングを通じて段取り工数の削減も実現しました。また、ビッグデータ解析による原価低減活動の推進にも寄与しています。特に、これまではベテラン社員が行っていた業務を勤続年数の少ない若手社員でもこなせるようになり、従来の慣習に縛られない新しい職場環境の創出にもつながっています。
北米地域においては、AIによる図面検索機能を利用することで、若手エンジニアの業務の効率化が図られています。
今後の展望
CADDiの導入によって得られた成果は、デンソーの今後のグローバル展開にもつながることでしょう。デンソーは、3D図面へのCADDiの適用を進めるとともに、アジア地域への展開も視野に入れています。競争力を最大化し、製造業全体の情報の流通を促進することを目指しています。
デンソーの取り組み
デンソーの工機部長である伊東貴博氏は、「日本のモノづくりは高い競争力を維持していますが、少子高齢化と若手の製造業離れが大きな問題です。引退を迎えるベテラン社員のノウハウを引き継ぐための取り組みは、今まさに重要です。CADDiは単なるコストダウンのツールではなく、業務の変革を実現する重要なパートナーです」とのコメントを寄せています。
キャディ株式会社の紹介
キャディ株式会社は、製造業のAIデータプラットフォーム「CADDi」を開発・提供しているスタートアップ企業です。彼らのミッションは、「モノづくり産業のポテンシャルを解放する」ことで、点在するデータや経験を資産化して新たな価値を創出することです。キャディは、日本国内だけでなく、アメリカやベトナム、タイなど4カ国で事業を展開し、製造業のグローバルな変革を推進しています。累計の資金調達額は217.3億円に達しています。