日本企業のDX推進状況
2021-09-22 14:10:01
日本企業のDX推進状況:人材不足と明確なビジョン不足が課題に
日本企業のDX推進、現状と課題:人材不足とビジョンの欠如
2021年、日本企業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進状況は、大きな変化を見せています。日本能率協会による調査では、DXに取り組む企業が前年比で大幅に増加したものの、その取り組みには課題も多く存在することが明らかになりました。
DXに取り組む企業の増加と成果
調査によると、DXに取り組んでいる企業の割合は45.3%に達し、前年の28.9%から大幅な増加を示しています。特に大企業では6割を超える企業がDXに取り組んでおり、その勢いは目覚ましいものがあります。しかし、DXに取り組んでいる企業の約6割は成果を実感しているものの、その多くは「ある程度の成果」にとどまっており、完全な成功を収めている企業は少ないのが現状です。中小企業では、DXへの取り組みは3割弱にとどまっているものの、「検討中」または「これから検討する」と回答した企業も合わせて考えると、潜在的なニーズは依然として高いと言えます。
DXで重視される点と課題
DXに取り組む企業が重視している点は、「既存の商品・サービス・事業の付加価値向上」が最も高く、91.4%を占めました。これは、DXによって既存事業の競争力を高めようとする企業の姿勢を表しています。また、「営業・マーケティングプロセスの効率化・高度化」、「生産プロセスの効率化・高度化」、「人材・組織マネジメントの効率化・高度化」なども高い割合を占めており、DXによる業務効率化への期待が大きいことが分かります。一方、「抜本的な事業構造の変革」を重視する企業は74.4%にとどまり、抜本的な変革への取り組みは、まだ十分とは言えない状況です。
DX推進における最大の課題は、「DX推進に関わる人材の不足」です。実に約9割の企業が、人材不足を課題として挙げています。その他、「DXに対するビジョンや経営戦略、ロードマップが明確に描けていない」、「具体的な事業への展開が進まない」といった課題も、多くの企業が抱えていることが分かりました。
DX成功のための提言
日本能率協会KAIKA研究所所長である近田高志氏は、DXの成功には、企業としての存在意義(パーパス)を経営層と現場の社員が共有し、明確なビジョンと戦略に基づいた取り組みが不可欠であると指摘しています。単にデジタル技術を導入するだけでなく、顧客や社会への価値提供という視点を持ってDXを推進していくことが重要であり、DX推進部門や担当者任せにするのではなく、全社を挙げて取り組む姿勢が求められます。
まとめ
本調査は、日本企業におけるDXの現状と課題を浮き彫りにしました。DXは、企業の成長と競争力強化に不可欠な要素であり、人材育成や明確なビジョン策定、全社的な取り組みが、DXの成功に繋がる鍵となるでしょう。今後、企業は、これらの課題への対応を急ぐ必要があります。
会社情報
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一般社団法人日本能率協会
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