M&A仲介協会が不正取引防止に向けた新たな取り組みを開始

M&A仲介協会、不当取引防止に向けた新たな取り組み

一般社団法人M&A仲介協会は、2024年10月1日から不当なM&A取引を防ぐための新たな取り組みとして「特定事業者リスト」の運用を開始することを発表しました。このリストでは、悪質な譲受け事業者の情報が共有され、自主規制ルールに基づく「特定事業者の情報共有の仕組みに関する規約」も新たに策定されます。

取り組みの背景

M&A仲介協会は、2021年に設立されて以来、中小企業庁の推進する「中小M&A推進計画」に基づき、公正で円滑な取引を実現するための活動を行っています。設立により、M&A仲介業界の健全な発展を支えることが目的とされています。特に最近では、中小企業の後継者問題を解決する手段としてM&Aが広がる一方で、悪質な譲受け事業者の存在が業界の信頼性を脅かしています。

M&A仲介協会の具体的な活動

同協会は、悪質な事業者からの被害を防ぐため、会員に対してこうした事業者との関与を避けるよう呼びかけてきました。今回の新たな取り組みは、その一環として実施されるものです。「特定事業者リスト」に関連する情報は、会員間での照会が可能なセキュアなシステムにて管理されます。会員は不正事業者の情報を獲得した場合、協会に通報し、審査の結果、悪質な事業者と判断された場合、リストに登録されます。これにより、会員各社は安全な取引を行うための情報を得ることができます。

不当取引防止のルール

「特定事業者の情報共有の仕組みに関する規約」は、2024年10月1日に施行予定で、悪質なM&A取引への関与を防止し、顧客企業の保護を目指しています。このルールは、自主規制ルールに準じたものであり、業界全体の質の向上と信頼性の強化を図るための基盤となるものです。

今後の展望

M&A仲介協会は、公正かつ安全な仲介活動を通じて、中小企業の持続的成長と日本経済の発展に寄与するというミッションを持っています。中小企業庁により、現在登録されているM&A支援機関は2,766件に上り、2020年代に設立された機関も多く存在します。今後は、会員数の増加と共に、M&A支援の質を更に高めることが求められます。

この取り組みにより、業界全体の信頼性向上とともに、悪質な事業者との取引を未然に防ぎ、持続可能なM&A活用の基盤を整えていきたいと考えています。