生活者の購買行動に見るデジタル化の進展
株式会社電通デジタルが実施した「EC・店頭をまたぐ購買行動実態調査2024」では、近年の購買行動の変化が明らかになりました。この調査は2022年から始まり、今年で3回目の実施となります。全国の4,350人を対象に、オンラインおよびオフラインでの購買行動について詳細なデータが収集されました。
調査の背景
新型コロナウイルスの影響が薄れ、生活者が日常の活動を取り戻す中、購買行動にも顕著な変化が見られています。デジタル化が進む中で、ECサイトや店舗の利用方法がどう変わったのか、調査ではその実態を明らかにしました。特に、オンラインでの情報収集が増加していることが強調されています。
本調査の主要な発見
1.
デジタルシフトの継続
生活者の第三者者の割合が増加している中、ECサイトを活用した購買行動が引き続き留意されています。特に商品比較において、オンラインでの利用が2022年の50.0%から2024年には55.7%に増加しました。
2.
高価格の商品購入の選択基準
1万円未満の購入が主に店舗で行われる一方で、1万円以上の商品はオンラインとオフラインの利用がほぼ同じことが見えてきました。このことは、高価格商品においてもオンライン購入が受け入れられてきていることを示唆しています。
3.
情報収集の重要性
検討要素が多い商品に対しては、オンラインと実店舗の両方で情報収集する傾向が強まりました。特に電子機器カテゴリーでは、オンラインでのリサーチを経て、店頭での実物確認を行なうケースが増えています。この動きは、消費者が購買リスクを軽減しつつ、情報に基づいた購入を行いたいという意向を反映しています。
4.
価値保持への意識の高まり
デジタル影響のもと、消費者は購入後の商品の価値にも敏感になっています。「中古品の購入が増えた」や「リセールを考慮して購入する」といった声が、物の所有に関する意識が変化していることを根拠づけています。消費者の25.5%は、オンライン購入の増加を実感し、リスクヘッジのための購買行動が強化されていることが示されています。
家電におけるデジタル化とリスクヘッジ
特に家電カテゴリーでは、生活者が慎重な態度を挙げており、店舗での購入が前年に比べて増加しました。これにより、生活者は事前にオンラインで情報を集めた後、実店舗で確認して購入するという流れが見えます。高額な家電製品においても、十分な情報が揃った場合にはオンライン購入が選択されやすい傾向があります。
企業の公式サイトとモールECの役割
生活者は、情報収集の際に企業の公式サイトを重視する傾向が強まっており、購入理由として「公式サイトが安心だから」という回答も多く寄せられています。一方で、ECモールでのポイント活用も購買行動の重要な要素として残っています。生活者の96.2%がポイントを意識した行動を取っており、経済的なメリットを求める動きが続いています。
結論
デジタル化が進む中で、生活者の購買行動はより複雑かつ多様化していることが本調査を通じて明らかになりました。商材選びにおいては、オンラインとオフラインを駆使しながら、絞り込んでいく傾向が見られます。また、消費者はリスクを回避する手段として、慎重な姿勢を示していることも特徴的です。これらの動きは、消費者が求める安心感や信頼性の基盤として今後も重要視されていくでしょう。