2024年9月1日、大阪科学技術館で第4回子ども・学生VR自由研究大会が開催されました。この大会は、一般社団法人子ども・学生VR自由研究大会組織委員会の主催により行われ、将来の科学者となるための可能性を引き出すことを目的としています。今回の大会では、大阪大学の竹村先生が応募された研究テーマを審査し、優れたアイデアを持った学生たちが表彰されました。
優秀な研究者として評価されたのは、大阪市の岡本真史さん。岡本さんは、「認知症サポーター隊」と題した研究を発表し、認知症患者の見守りシステムを提案しました。認知症患者の増加とそれに伴う課題が深刻化する中で、彼の提案は非常に重要な内容となっています。
具体的には、位置情報を利用した発信機やセンサーを用いて、認知症患者の居場所を把握し、異常があった際に通知する仕組みが整備されています。また、VR技術を利用してのコミュニケーション支援や、日常生活の様子を見守る新しい生活支援の方法についても触れられました。岡本さんは、VRを通じて遠くに住む家族とつながることや、遊びを通じて認知症の進行を遅らせる可能性についても言及しました。
もう一つ評価された研究は、「天災シミュレーター」で、これも小学生の創意工夫の賜物です。自然災害が多発する昨今、効果的な避難行動を促すために、MR(複合現実)と地図情報を組み合わせたシミュレーションシステムが提案されました。このシステムは、室内や屋外の危険性を可視化し、具体的な対策や避難ルートを事前に知ることができます。
普段の生活では体験できない状況をシミュレートすることで、多くの人々がより良い防災対策を取れるようになることが期待されています。特に、学校や企業でも活用できる点が注目されています。
この大会を通じて、参加者たちはVRやAIといった最先端の技術に触れ、さまざまな分野における問題解決へのアプローチを学びました。今後のVR自由研究大会では、社会全体のサポートを受けながら、こうした新世代の科学者たちが活躍する場を広げていくことが期待されています。
大会の上級副委員長である竹村治雄教授は、次回の開催もすでに計画されており、さらなる共同研究への道筋を開くことを強調しました。子ども・学生VR自由研究大会は、将来の科学者たちを育成するための重要なプラットフォームとして、引き続き活動を続けていく意向を示しています。子どもたちが持つ無限の可能性を可視化する場として、社会全体でサポートしていくことの重要性を再確認できる大会でした。