ヤマハの『Designed by Nature Clarinets』がRed Dotデザイン賞を受賞
ヤマハ株式会社のプロトタイプシリーズ『Designed by Nature Clarinets』の4つのモデルが、2024年の「Red Dotデザイン賞デザインコンセプト部門」を受賞しました。この賞は、国際的に権威のあるデザイン賞で、特に優れたデザインや革新性をもつプロトタイプを評価しており、ヤマハはこれにより4回目の受賞を果たしました。受賞したモデル『KINTSUGI』、『SHIRATA』、英語名の『Sapwood』、『FUMOKU』、英語名の『Grain』、『IRIKAWA』、英語名の『Bark』は、それぞれ独自のデザインコンセプトを持っています。
『Designed by Nature Clarinets』の特徴
このシリーズは、「自然が生み出す唯一無二の特徴」に重きを置いて設計されています。一般的には均一性が求められる楽器の生産において、ヤマハはあえて木材の多様性を活かす方法を選びました。具体的には、木材の成長過程で生じるひび割れや欠けを活かして、個性的なクラリネットを生み出しています。
特に『KINTSUGI』は、日本の伝統的な「金継ぎ」技術を用いて修復され、金で装飾された部分が美しさを引き立てています。また、他のモデル『SHIRATA』は白太、『FUMOKU』は斑杢、そして『IRIKAWA』は入皮の自然由来の特徴を前面に出したものです。これにより、楽器には各々独特な表情が生まれています。
限られた資源を生かすために
クラリネットに使用されるアフリカのグラナディラ材は、楽器として成立するまでに70~100年かかるため、ヤマハは持続可能な資源の利用にも注力しています。『Designed by Nature Clarinets』を通じて、木の個性を最大限に活かす方法を模索しつつ、資源を無駄にしないための研究も継続しています。また、木片を活用する新しい成形技術や汎用木材の積層木材技術の開発によって、楽器製作の新たな可能性を広げています。
ヤマハの受賞歴
ヤマハは過去にも様々なデザインにおいて評価を受けており、2017年には音を奏でる電動アシスト車いす『&Y(アンディ)01』や、2024年のエレキギターコンセプトモデル『アップサイクリングギター』、体験型インスタレーション『e-plegona(エプレゴナ)』など、革新的なプロジェクトで注目されてきました。『Designed by Nature Clarinets』の受賞は、その流れを加速させるものとなるでしょう。
受賞作品の展示
これらの受賞したモデルは、今後の展示やイベントでも紹介される予定です。ヤマハはデザインの美しさに加えて、環境への配慮や持続可能性を追求し続ける意義を強く訴えています。受賞を受けて、今後もさらなる革新を期待せざるを得ません。
このように、ヤマハの新しい挑戦は、音楽だけでなくデザインの面でも明確な足跡を残しています。クラリネットを通じて自然の美しさを表現することに成功したヤマハ。この受賞は、単に栄誉を与えるものではなく、未来の音楽と環境に対する新たなビジョンへとつながるものです。今後のヤマハの活動にも注目していきたいですね。