AIとLINEで支える介護支援の新しい形
介護離職の問題は日本社会で深刻な課題となっており、企業やその社員にとっては頭の痛い問題です。ここに、テクノロジーの扉を叩く新たな取り組みが浮上しています。株式会社インターネットインフィニティーとエーザイグループのテオリア・テクノロジーズが協業を発表し、AI技術を基盤にした介護支援の可能性を実証するプロジェクトが始まります。
協業の背景
日本では、介護と仕事の両立を求める声が高まっています。総務省の調査によれば、2022年だけで約106,000人が介護を理由に離職しており、これは企業にとって深刻な痛手となっています。社員のキャリアや企業の人材が失われるだけでなく、その結果として生産性の低下が避けられないからです。このような背景の中、インターネットインフィニティーは「介護離職ゼロ社会の実現」を目指し、法人向けの介護支援サービス「わかるかいごBiz」を展開しています。
一方、テオリア・テクノロジーズは、同グループの知見を活かし、特に認知症域に特化したヘルスケアソリューションを展開しています。二社は「デジタルの力で社員・介護者・専門家をつなぐ」という共通のビジョンのもと、この協業を実現させました。
次世代ケア実証実験
このプロジェクトの初動として、2025年12月に「わかるかいごBiz」とテオリア・テクノロジーズの対話型AI「ヨルニモ」を利用した実証実験が開始されます。実証はコミュニケーションアプリ「LINE」を使用した24時間対応のチャット相談サービスです。これにより、介護に悩む従業員は、気軽にAIに相談できる環境を整えます。登録不要で即時利用が可能で、自分のペースで介護についての悩みを相談できるメリットもあります。
主な機能
- LINEでいつでも相談が可能。仕事が忙しい中でも、思いついたときにすぐに相談ができます。
- 利用者の状況や価値観に応じて、最も適切な回答を提示し、より耳寄りなアドバイスを得ることができるでしょう。
期待される価値
この取り組みは、3つの側面から価値を提供します。
- - 社員へのサポート: 介護に伴う孤独感や不安を軽減し、AIによる継続支援で仕事と私生活を両立できるようにします。
- - 企業へのメリット: 介護離職を防ぎ、人的資本の経営や生産性を維持する手助けをします。
- - 社会全体への影響: テクノロジーを活用した新たな介護支援モデルを構築し、社会のインフラの質を向上させるでしょう。
中長期的なビジョン
今後両社は、実証の結果をもとに「ヨルニモ」をさらに高度化させていく計画です。2026年度にはネイティブアプリのリリースも視野に入れています。また、サポートは「わかるかいごBiz」だけにとどまらず、他の関連サービスとの連携を強化し、オンラインとオフラインを融合した包括的な介護体験を提供できるよう努めていきます。
この新たな取り組みが、介護に直面する多くの人々の生活を支える力となれば幸いです。また、社会全体でもこのモデルが広がることで、介護離職という社会課題に立ち向かう一助となることを期待しています。