山梨の伝統工芸「甲州印伝」が進化を遂げる
山梨県発の伝統工芸品、巧みな技法で鹿革に漆を施した「甲州印伝」が、今まさに新たな進化を見せています。この度、その製造元である有限会社印傳の山本は、「obudo(R)」という新しいブランドを立ち上げ、2025年1月16日から20日にかけてパリで開催される国際インテリアデザイン・ライフスタイル見本市「メゾン・エ・オブジェ」に出展することが決まりました。
甲州印伝の特徴と背景
甲州印伝は、古くからの技法を引き継ぎ、鹿革に漆の模様を施すという独自の製品であり、その歴史は長いものです。しかし、近年、海外における知名度はまだまだ低く、特に販売網の確立やPR力の不足が課題とされています。また、大量生産を行うための体制が整っていないことも、他の伝統工芸品と比べた際の弱点となっています。
新ブランド「obudo(R)」の誕生
そんな現状を打破すべく生まれた新ブランド「obudo(R)」。このブランドでは、アニマルフリーの素材を使用しながら、伝統的な印伝技法を活かしています。特に、昨年の市場調査を基にした商品開発においては、脱プラスティックやSDGs、ヴィーガンの視点が重要視され、これに応じた製品展開を行うことで海外市場への進出を目指しています。
特筆すべきは、株式会社東レの協力による植物由来のウルトラスェードを使用したアイテムの反響です。この素材の採用により、「obudo(R)」は従来の印伝ファンのみならず、新たな顧客層を獲得することが期待されています。
自然からインスパイアされた新しいデザイン
「obudo(R)」は、山梨の自然からインスピレーションを受けたデザインを展開しています。例えば、以下のパターンが特徴的です。
- - waterdrop(ウォータードロップ): 甲府の豊かな水や雨を表現したデザイン。
- - crystal(クリスタル): 畑や生産物の多様性をイメージ。
- - cracs(クラックス): 自然に見られるひび割れ模様。
- - cell(セル): 葡萄の球体構造を取り入れたスタイリッシュなデザイン。
これらの新しい模様は、現代の生活環境にマッチしたアイテムとして展開されています。
メゾン・エ・オブジェへの出展
「メゾン・エ・オブジェ」は、毎年パリで開催されるインテリアデザイン関連の見本市です。ここでの出展を通じて、「甲州印伝」の伝統技術を世界に知らしめ、新ブランド「obudo(R)」の認知度向上を図ります。同時に、山梨のインバウンド需要の拡大にも寄与することを目指しています。
出展概要
- - 期間: 2025年1月16日~20日
- - 会場: パリ・ノール・ヴィルパント見本市会場
詳細は公式ウェブサイト(
メゾン・エ・オブジェ)をご覧ください。
まとめ
甲州印伝がアニマルフリー素材で新たなスタートを切り、世界に向けての挑戦が始まりました。伝統を守りつつも未来を見据えた展開が期待されます。これからの「obudo(R)」の動向から目が離せません。