ダガー賞受賞作『ババヤガの夜』がAudibleで配信開始

2023年12月12日、Amazonオーディブルが新たに配信するのは王谷晶の話題作『ババヤガの夜』です。この小説は2020年に刊行され、英訳版は2025年にダガー賞の翻訳部門で受賞が決定したことで、一気に注目を集めた作品です。日本人として初めてダガー賞を受賞した王谷さんは、この業績によって多くのミステリーファンから再評価されています。

物語は、暴力を唯一の趣味としている新道依子が主人公です。彼女の生き方は一見すると暴力一辺倒に見えるかもしれませんが、その中には深い孤独やサバイバルの力強さが隠れています。依子はある日、暴力団の会長の娘を護衛することになるのですが、物語は単なるアクションではなく、人間関係の機微や感情の揺れ動きを描いています。果たして、他者を守ることが自らの救いになるのか、それともさらなる孤独への道を辿るのか、依子は自らの選択を問うていくことになります。

朗読は実力派の声優、甲斐田裕子が担当します。彼女は洋画吹替えやアニメ作品での経験が豊富で、安定感のある低いトーンからの情感豊かな演技が魅力です。甲斐田さんは「『ババヤガの夜』の朗読は非常に面白い体験でした。特に、女性が勇気を持って立ち向かう姿に共感を覚えました」とコメントしています。彼女が描く読者への親しみやすい語りかけは、ストーリーの緊張感をより一層引き立てるでしょう。

王谷晶さん自身も、「語り手が声を通して物語を伝えることにより、キャラクターがより生き生きと感じられると思います」と述べています。このように、Audibleでのオーディオブック化によって、また一つ新しい魅力が追加されました。「音で聴くアクション」を体感できるのがオーディオブックの大きな魅力です。

『ババヤガの夜』はただのアクション小説ではありません。登場人物たちが抱える秘密や葛藤が絡み合い、最後には驚愕の大仕掛けが待っています。だからこそ、聞き手は一層物語に引き込まれることでしょう。喧嘩の腕前しか持たない主人公、困難な状況に立ち向かう姿に勇気をもらえるはずです。

王谷さんは謙虚に「Audibleを通じて多くの方にその魅力を伝えられることを嬉しく思います」と話しており、ぜひこの機会に多くのリスナーに届けたい意向を持っています。

このオーディオブックは、原作を調整し、英訳版の表現を参考にした演出も取り入れているため、新たな視点から楽しんでもらえるでしょう。「ババヤガの夜」の物語がいかにして甲斐田裕子の声によって命を吹き込まれるのか、ぜひAudibleで体験してください。