新たな共同プロジェクトがCML患者をサポート
日本調剤株式会社とそのグループ会社日本医薬総合研究所、さらにノバルティス ファーマ株式会社は、慢性骨髄性白血病(CML)患者の治療効果向上と、生活の質(QOL)を向上させるための共同プロジェクト「患者サポートプログラム CML-PATH」を開始しました。このプロジェクトは、CML患者が抱える治療に伴うさまざまな「我慢」を解消し、より快適に治療に向き合っていただくことを目的としています。
CMLの現状と課題
CMLは、近年の医療技術の進歩により治療成績が大きく改善されていますが、依然として患者が治療中の悩みを医療従事者にうまく伝えられていないという課題が存在します。これによって、治療の効果が発揮されず、副作用に苦しむ患者が多く見受けられます。
2021年の調査によれば、約42%の患者が「服薬をやめたいと思ったことがある」と回答し、その理由の61%が副作用によるものとされています。さらに、47%の患者が副作用で仕事を休む経験があり、78%が治療による身体的疲労を感じているとのことです。これらのデータから、患者のQOLに影響を与えることが明らかとなっており、CMLの治療では高い服薬アドヒアランスが求められます。長期治療を続けるためには、患者がQOLを保ちながら安心して治療に向き合える環境が必要です。
本プロジェクトの狙い
このプロジェクトでは、日本調剤の薬剤師がCMLに関する知識を深め、患者が抱える具体的な問題を把握し、血液内科医と情報を共有する体制を構築します。また、日本医薬総合研究所は、服薬フォローアップの効果を分析し、得られたデータに基づいて関係者と連携しながらCMLの治療環境を共創していく方針です。
各社代表のコメント
ノバルティス ファーマのジョンポール・プリシーノ社長は、「革新的な医薬品は、患者のもとに実際に届けられて初めて価値を持つ」と強調し、患者の治療成績を向上させるための社会全体の仕組みづくりに取り組んでいく意向を示しました。
また、日本調剤の小城和紀社長は、創業以来「生きる」に向き合ってきた企業の使命を述べ、専門知識の向上に努めながらCML患者の治療環境を改善することを目指すと述べました。
Lastly, 日本医薬総合研究所の橋爪敦弘社長は、同社が持つデータを活かしてCML患者への服薬フォローアップの有効性を評価し、より良い治療環境の創造に貢献することを明言しています。
プロジェクト概要
この共同プロジェクトは2025年9月から開始され、日本調剤が選定した20店舗が対象となります。今後の具体的な取り組みとして、ノバルティスは薬剤師に向けた勉強会を企画し、医師のニーズを把握した服薬フォロー用のサポートシートを設計します。日本調剤と日本医薬総合研究所は、疾患理解を深め、服薬フォローを実施しながら、得られた知見を研究に活かしていきます。
期待される成果
この共同プロジェクトによって、CML患者は日常生活における「我慢」を相談しやすくなり、治療に伴う不安が軽減され、QOLの向上や服薬アドヒアランスの改善が期待されます。薬局の薬剤師は知識を深め、質の高い服薬指導を行うことが可能となり、血液内科医は患者から得られた情報を基に診療の質を向上させることができるようになります。
まとめ
日本調剤、ノバルティス、そして日本医薬総合研究所の共同プロジェクトは、CML患者がより良い生活を送れるように、医療現場に新しい環境を提供することを目指しています。この取り組みがCML患者の治療環境の改善につながることを期待しています。