コンクリートの鉄筋探査を革新する新技術
近年、老朽化が進むコンクリート製インフラが多く見られる日本。橋梁やトンネル、水道管などの老朽化は、ひび割れや鉄筋腐食など、目に見えにくい劣化が原因で多くの事故を引き起こしています。これに対処するためには、より効果的かつ迅速な診断技術が求められています。そのニーズに応えるべく、大阪大学 産業科学研究所の千葉大地教授率いる研究チームが新たに開発したのが、ハンディタイプの鉄筋スキャナです。
ハンディ鉄筋スキャナの特長とは?
この鉄筋スキャナは、「永久磁石法」と呼ばれる独自の手法を用いており、コンクリートに埋設された鉄筋を一度のスキャンで面的に可視化・マッピングできることが最大の特長です。これにより、従来の電磁波レーダーを使用した探査装置に比べ、スキャンを何度も行う必要がなく、迅速な診断が可能となります。また、約2.5 kgというハンディサイズで軽量であるため、使用者が持ち運ぶ際にも負担が少なく、モップ掛けのようにコンクリート面をなぞるだけで情報を取得できる手軽さも魅力です。
従来技術の課題を克服
これまで主流だった電磁波レーダーは、複数回のスキャンを必要とし、水中探査には対応できないなどの様々な制約がありました。一方、今回の鉄筋スキャナは、永久磁石法を活用することで、水中での探査も可能にしました。この技術により、特に水道管の老朽化による道路の陥没事故の予防に向けたさらなる研究開発が期待されています。
今後の展望
千葉教授は今後、現場調査と実機デモンストレーションを進め、ユーザー企業のフィードバックを得ながら量産販売を目指すとしています。また、1年以内に製品プロトタイプを完成させ、さらなる技術の進化を追求していく意向です。特に、水中での鉄筋探査技術の開発にも取り組み、インフラ点検の新たなスタンダードを築くことを目指しています。これにより、社会全体の安全性向上にも寄与することが期待されます。
研究発表会について
本技術の詳細は、2024年1月28日(水)に大阪大学 産業科学研究所で行われる記者発表にて公開されます。この場では、鉄筋スキャナのプロトタイプが初めてお披露目され、実機によるデモンストレーションも行われる予定です。一般参加者は入場できないため、報道関係者のみの特別な発表となります。
全体として、今回の革新技術は日本のインフラ保守管理に新たな光をもたらすものと考えられ、引き続き注目が集まることでしょう。